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最高賞の豊田合成「ゴム業界を引っ張っていきたい」 中日産業技術賞の贈呈式

2025年12月5日 05時10分 (12月5日 05時10分更新)
 優れた産業技術などを顕彰する第39回中日産業技術賞(中日新聞社主催、経済産業省後援)の贈呈式が4日、名古屋・栄の中日ビルで開かれた。最高賞の経済産業大臣賞には、豊田合成(愛知県清須市)の「高品質なゴムリサイクル技術(脱硫再生技術)」が輝いた。

中日産業技術賞で経済産業大臣賞を受ける豊田合成の宮崎直樹会長(左)と、中日新聞社賞を受ける福田刃物工業の福田克則社長=4日、名古屋・栄の中日ビルで

 受賞した技術は、自動車用ゴム製品の廃材を短時間かつ高品質にリサイクルする技術を開発、発展させた。製品の材料に再生ゴムを20%まで配合することに成功し、二酸化炭素(CO2)の排出量を新品比で10%低減した。国際競争力を高める可能性や波及効果の大きさなどが評価された。
 賞状を贈呈した寺村英信中部経済産業局長は「現場の課題の解決を模索し続け実現した。まさに日本のものづくり的で、感銘を受けた」と語った。豊田合成の宮崎直樹会長は「技術者魂と、最後までやりぬく豊田合成魂がぶつかり合って開発、量産に至った」と開発陣をたたえた。
 中日新聞社賞には、福田刃物工業(岐阜県関市)が開発した超硬合金包丁「KISEKI:(キセキ)」が選ばれた。日本で初めて、加工の難しい超硬合金の家庭用包丁に挑戦し、量産に成功。一般的なステンレス製や鋼製と比べると切れ味に優れ、研ぐ頻度が少なくても切れ味が持続する。福田克則社長は「会社の実力が認められ、社員の自信につながる。世界に福田のブランドを広げていきたい」と述べた。福田社長には、中日新聞社の大島宇一郎社長から賞状が贈られた。

開発陣のたゆまぬ努力が生んだ新技術

 たゆまぬ努力が、時代の要請に応える技術と製品を生んだ。名古屋・栄の中日ビルで4日に開かれた第39回中日産業技術賞の贈呈式では、受賞企業の開発者らが喜びを分かち合うとともに今後の決意を語った。 (原田晋也、華原士文)

プレゼンテーションする豊田合成の栗本英一第1材料技術部長=名古屋・栄の中日ビルで

 経済産業大臣賞に選ばれたのは、豊田合成の「高品質なゴムリサイクル技術(脱硫再生技術)」。自動車用のゴム部品から、リサイクルを妨げる硫黄化合物だけを取り除き、高品質な再生ゴムを量産することに成功した。現在は社内の工場から出る廃材をリサイクルし、製品に配合している。豊田合成第1材料技術部の栗本英一部長(55)は「他社からも廃材を回収していくことを考えている。天然ゴムなどに適用するための新技術にも挑戦している。仲間づくりと新技術の合わせ技で、ゴム業界を引っ張っていきたい」と展望を語った。
 FC・WS第1収益管理室の山田宜伸(よしのぶ)室長(48)は「プラスチックはリサイクルを前提とした回収の仕組みができているが、ゴムにはない。受賞を追い風にリサイクルの枠組みをつくり、ちゃんと利益が出る事業にまで持っていきたい」と意気込んだ。

プレゼンテーションする福田刃物工業の取締役兼KISEKI:ブランドマネージャーの福田恵介さん=名古屋・栄の中日ビルで

 中日新聞社賞を受賞した福田刃物工業の超硬合金包丁「KISEKI:(キセキ)」は、切れ味や持続性はもとより、ステンレス製や鋼製より薄くてさびにくい。超硬合金が誇る硬さから、切断時は食材の細胞破壊が少なく、うまみや甘みを引き出すという。開発した取締役兼KISEKI:ブランドマネージャーの福田恵介さん(55)は「社員の総力と技術力が認められてうれしい。来年の創業130年へのはずみにしていきたい」と語った。
 紙束の裁断など工業用の機械刃物に用いられ、ダイヤモンドに次ぐ硬さとされる超硬合金。機械刃物を長く取り扱ってきた知見を生かし、形状加工や刃付けなど自社一貫生産にこだわる。福田克則社長(57)は「社員の実現への執念は僕以上。僕の役割は、これを機に新商品をもっと打ち出すこと。一段とやる気になっている」と力を込めた。

リサイクル材の創出が使命 ◆豊田合成・宮崎直樹会長

豊田合成の宮崎直樹会長=名古屋・栄の中日ビルで

 研究は1990年代からスタートしましたが、技術のハードルが高くてなかなか量産に至りませんでした。ここへ来て、欧州を中心に環境規制が強まり、「これは本当にやらないと。企業の生命線だ」と取り組みました。おかげさまで人気の新型車に製品を採用していただき、非常に大きな一歩を踏み出すことができました。われわれの社是は「限りない創造、社会への奉仕」。サーキュラーエコノミー(循環型経済)の時代に、こういったリサイクル材を世の中に出していくことが社会的使命だと思っています。

自由闊達な社員に感謝 ◆福田刃物工業・福田克則社長

福田刃物工業の福田克則社長=名古屋・栄の中日ビルで

 社員170人の小さな会社。数年前から放任主義で、社長の私はキセキの開発に1ミリも関わっていません。超硬合金を包丁にするというユニークな発想は、どこにもありませんでした。「誰もやったことのないことをやってみたい」というのは、弟の恵介の小さな頃からの夢だったと思います。うちの社員は諦めが悪く、成功するまでやります。経験のない木製の柄の加工も手がけ、機械刃物と同様に包丁も社内で一貫生産しています。一番感謝したいのは恵介。同時に、自由闊達(かったつ)な社員に、改めて心から感謝を伝えたいと思います。
中日BIZナビ
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