五輪メダル量産への影の“キーマン”…柔道で培った『4000人&3万試合超』データ戦略、空手にも生かす!
2020年5月27日 12時43分
◇「東京再挑戦」石井孝法さん(了徳寺大准教授)
2021年に延期となった東京五輪へ、サポートスタッフも新たな課題を突き付けられている。柔道と空手の両競技で情報分析などを担当する石井孝法さん(40)=了徳寺大准教授=は「難しいことへのチャレンジになる」。新型コロナウイルスの影響で試合が限られる中、知恵を絞って選手を支えていく。
メダル量産への影のキーマンだ。石井さんを中心に全日本柔道連盟(全柔連)の科学研究部が開発した柔道の情報分析システムには現在、選手と審判4000人、3万試合を超えるデータが蓄積されている。16年リオデジャネイロ五輪では男子の全7階級でメダルを獲得するなど好成績の一因となった。
石井さんは「73キロ級金の大野(将平)は審判の罰則の取り方が遅いというデータを受けて戦術、戦略を見直した。他国では伏兵に敗れた強豪も目立った。準備ができていたら負けなかったかもしれない」
リオ五輪以降も、石井さんらはほぼ全ての国際試合を現地で撮影し、各選手の技や組み手、審判の傾向をデータ化してきた。「フランスやドイツも情報分析には力を入れているが、日本には及ばない」。情報量は他国の追随を許さない。
柔道での成功で、情報戦に目を向けたのが東京五輪で新競技として採用される空手だ。石井さんは請われて数年前からスタッフに加わった。「柔道の知見を生かして。空手の経験はないが、あまり関係ない」。女子組手61キロ超級の東京五輪代表・植草歩らにはトレーニング方法に関してもアドバイスしている。
「時間的な猶予はかなりプラスに働く」
五輪延期の影響は情報分析にも及んでいる。柔道も空手も大会が軒並み中止となる中、どうやってライバルを丸裸にしていくか。「大会は限られている。今後の情報収集をどうするかというよりは、今あるデータから来年の強豪選手のパフォーマンスをどのように評価(予測)するか。チームを組んで準備を進めたい」と語る。
プラス1年の利点もある。後発の空手でも柔道のような分析システムを考案中で、「空手はかなりの過密スケジュールで情報分析のサポートを進めてきた。スタッフ育成も含め、時間的な猶予はかなりプラスに働く」。五輪本番では柔道と空手が行われる予定の日本武道館の近くに拠点を設け、万全の体制で選手をサポートする計画だ。
柔道の現役時には重量級で男子代表監督の井上康生、男子代表コーチの鈴木桂治と競い合った。「たぶん井上、鈴木の映像は日本で一番見ている。映像分析をしていたからいい試合ができた。その経験が今につながっている」。2021年夏へ、石井さんの戦いはもう始まっている。
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