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今こそ礼と尊重を 柔道サウジアラビア代表指導の各務さん、アジア大会「人と人をつなぐ大会に」

2026年6月11日 12時00分 (6月11日 12時05分更新)
 11日であと100日となった愛知・名古屋アジア大会。平和をうたうスポーツの祭典の開幕を、特別な思いで待つ男性がいる。岐阜県瑞浪市出身で、柔道サウジアラビア代表チームのヘッドコーチを務める各務(かかむ)耕司さん(49)。2月以降の不安定な中東情勢の中で指導を続けてきた。教えた選手は今秋、愛知の畳の上に立つ。「政治、宗教、国籍を超えて人と人をつなぐ大会になってほしい」と願う。 (牧野良実)

各務耕司さん(左)やパリ五輪柔道女子の金メダリスト・角田夏実さん(手前下)らから技術を学ぶサウジアラビアのコーチたち=2025年10月、サウジアラビア・リヤドで(各務さん提供)

 「これは本当に起きていることなのか」
 3月、スマートフォンの画面に各務さんは驚いた。「イランがサウジアラビアの米国大使館を攻撃」とのニュースにくぎ付けになった。米国、イスラエルによるイラン攻撃が始まって数日後のこと。サウジから一時帰国し、瑞浪市の実家にいた時だ。首都リヤドの自宅と大使館との距離は約20キロ。現地には妻と子ども3人が残っていた。「もし攻撃が拡大したら…」。急いで家族と連絡を取った。
 サウジに渡ったのは昨年1月。きっかけは各国のコーチらが参加する交流サイト(SNS)のグループだった。柔道の日本人コーチを探していると知り、気持ちが動いた。当時は日本代表ジュニアのコーチ。国内トップレベルの選手を教える喜びはあったが、「勝つだけではない、柔道の醍醐味(だいごみ)を伝えたい」との思いもあった。「柔道が発展していない国の役に立てれば」。勤めていた愛知県警を辞め、飛行機に乗った。
 異国での指導は驚きの連続。練習に時間通りに集まらない。イスラム国家のため、礼拝の時間になれば、試合中でも中断してお祈りする。「日本の常識は通用しない」。練習に取り組む姿勢から伝え、少しずつ軌道に乗り始めた頃、仕事の手続きで日本へ帰国。その数日後、イランへの攻撃が始まり、サウジでも黒煙が上がった。...

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