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アートとして見せる陶芸 陶作家・伊藤慶二さん 東京・小山登美夫ギャラリーで個展

2022年1月21日 14時00分 (3月7日 16時09分更新)
2008年ごろから取り組んでいる「面」シリーズの一つ「おとこ」

2008年ごろから取り組んでいる「面」シリーズの一つ「おとこ」

  • 2008年ごろから取り組んでいる「面」シリーズの一つ「おとこ」
  • 個展を開いている伊藤慶二さん。人体をモチーフにした立体作品「うずくまる」(手前)や油彩画を展示している
  • 「わらべ」㊨
 岐阜県土岐市の陶作家、伊藤慶二さん(86)の個展が、現代美術をリードする東京・六本木の「小山登美夫ギャラリー」で初めて開かれている。従来の陶芸のジャンルにとらわれない幅広い創作活動が注目された形で、現代美術の視点からその作品世界に迫っている。
 「工芸の特徴である“用”のあるものは見せていない。陶芸家としてではなく、あくまでもアーティストとして向き合ってほしかった」。ギャラリーの代表、小山登美夫さん(58)は企画の狙いを説明する。陶作家の展覧会では器などの小品を多数並べることがあるが、今回は伊藤さんの新作や近作30点を厳選した。
 人物の頭部を大胆にデフォルメした「面」シリーズの連作は、黒く輝く素材の質感がブロンズなどの金属を思わせる。焼き締めた土の肌に顔料を塗って拭き取るなど、絵画的なアプローチにも着目。長年手がけてきた油彩の近作も展示し、壁には「面」シリーズを写し取ったような重厚な絵が並ぶ。実用性から離れた作品群は、彫刻家や現代美術作家の展覧会と言われても違和感がない。
 伊藤さんは土岐市出身。武蔵野美術学校(現武蔵野美術大)油画科を卒業後、県陶磁器試験場で陶磁器デザイナー・日根野作三に学んだ。縄文の原始芸術をはじめ古今東西の造形美に着想を得つつ、「面」シリーズや反戦のメッセージを込めた「HIROSHIMA」シリーズなど、強い精神性を帯びた造形作品を生み出してきた。しかし、その先駆的な創作活動は、時として「陶芸」の中では位置付けが難しく、伊藤さんは「理解されない方が多かった」と振り返る。
 しかし昨年夏、岐阜県美術館と愛知県内のギャラリーで開かれていた伊藤さんの個展を見た小山さんが、その作風に目を付けた。「作品の形に色づかいがうまくマッチしていた。自分の中ではあくまで彫刻、立体の作品として迫ってきた」と小山さん。後日、実際に土岐の窯に足を運び、東京での個展を提案。日本を代表する現代美術のギャラリーと美濃の陶芸の重鎮という異例の組み合わせが実現した。
 近年、イケムラレイコさんや奈良美智さんなど、絵画に軸をおきながら、陶芸を使った表現を試みる現代美術作家が少なくない。本展の視点からは、伊藤さんが創作ジャンルの越境を試みた先駆者という見方もできる。
 伊藤さんは「自分の中で陶とキャンバスに境界はなかった」とこれまでの歩みを思い返し、「現代アートの空間で取り上げてもらったことが、素材や色など、今後の創作に作用してくるだろうと思う。これからまた勉強です」と意気込みを新たにしている。2月12日まで。
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