防災袋の盲点は「薬」だった 水や食料だけでは足りない 命を守るために確認しておきたいこと
7月末、熊本県で最大震度7を観測し、多くの方の命が失われた「令和8年熊本地震」が発生しました。8月には「令和8年8月千葉豪雨」で広い範囲に大雨特別警報が出され、東京でも大雨への対応が続きました。防災袋というと水や食料を思い浮かべますが、持病のある方にとって、いつもの薬を切らさない準備も命を守る備えです。
厚生労働省の資料では、毎日必要な薬は3日分、できれば1週間分を備える例が示されています。ただし、予備の日数や保管方法は薬によって異なります。余分にためたり、家族の薬を分けたりせず、次の受診時に主治医や薬剤師へ「災害用にどう準備すればよいですか」と相談してください。薬の期限も定期的に確認しましょう。
薬そのものと同じくらい大切なのが、何をどの量で使っているか分かる情報です。お薬手帳のコピー、最新ページを撮ったスマートフォンの写真、薬剤情報の紙を防水袋に入れておくと、避難先で別の医療者に相談するときに役立ちます。電子版お薬手帳も便利ですが、停電や通信障害に備えて紙も残しておくと安心です。薬の名前だけでなく、病名、薬のアレルギー、かかりつけ先、緊急連絡先も一緒に入れておくと良いでしょう。処方が変わったら写真やコピーも更新し、家族にも保管場所を伝えておきましょう。
インスリン、吸入薬、注射薬、在宅酸素などは保管温度や必要な器具がそれぞれ違います。また、食事や水分が取れないときに調整が必要な薬もあります。平時に主治医と対応を確認し、災害時に分からなければ自己判断せず、避難所の医療班や薬剤師に相談してください。一度ぜひ、防災袋を開き「薬・情報・相談先」の三つがそろっているか確認してみませんか。
◆西岡清訓(にしおか・きよのり)兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。
