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まずNPBの“投高打低”を“投中打中”へ…初のベスト8止まりに終わったWBC 世界の潮流に合わせたチューニングを

2026年3月24日 12時09分

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アクーニャに先頭打者本塁打を打たれる山本


◇記者コラム「Free Talking」特別版
 ベネズエラが初優勝を遂げた今年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、連覇を狙った野球日本代表「侍ジャパン」はベスト8で散った。第6回でワーストの結果だった中、侍ジャパンを取材した記者はどう受け止め、何を感じたのか。それぞれが独自の視点で振り返った。
   ◇  ◇
 力負けだった。準々決勝のベネズエラ戦。1回の先頭。アクーニャは1ボールから山本の155キロ直球を振り抜くと、打球はセンター右へ吸い込まれた。日本のエースの直球をファーストスイングで捉える能力にまず驚かされた。日本はその後リードを奪ったが、ベネズエラの強力リリーフ陣の前に追加点を奪えず。逆に日本はリリーフ陣が2本のアーチで逆転を許し、WBCで初めてとなるベスト8止まりに終わった。
 MLBのデータサイト「Baseball Savant」で見てみると、準々決勝の直球の平均スピードは侍ジャパンが94・75マイル(152・5キロ)に対して、ベネズエラは95・8マイル(154・1キロ)。直球は150キロ台中盤が出て当たり前。しかも150キロ台中盤が出れば抑えられるというものでもない。ただ直球の球速が上がれば上がるほど、被打率が下がる傾向はどこも同じ。これがWBCで勝負するための最低ラインになりつつある。
 侍ジャパンの吉見一起投手コーチは「150キロ台前半では厳しいと感じさせられた。ボール半個甘いと長打になってしまう。まずはスピードの部分は対等にもっていかないと。その上でひとつ変化球が良いとか、コントロールが良いとか、何か乗せていかないと抑えられないレベルになっていると感じた」と話す。
 これからもメジャーのトップクラスの選手の参加が続くと想定すると、メンバー編成も相手に合わせたものが求められる。今回、150キロ中盤以上の直球が投げられて、空振りの取れる変化球を持っていても、選ばれていない投手もいる。もちろん選手それぞれの事情も影響したが、これまで以上にトラッキングデータは重要になってくる。選考過程にメジャーのトレンドを知るアナリストを入れるのも有効になるだろう。
 そしてNPBの環境も変えていかなければならない。日本では統一球の導入以降、投高打低の傾向が強い。侍ジャパンに選ばれた選手からは「MLB球の方が飛ぶ」という声を聞く。国内では、今の球威でも抑えることができるが、海を渡ればこれが一変する。NPBの投手にとってWBCは現状、日常的にもっと速い球を見ている打者を相手に、投げにくい上にさらに飛ぶボールで戦いを挑むという状況になっている。NPBの環境が変われば、投手たちも生き残るための工夫が始まり、それが進化につながっていく。まずは”投中打中”になるようなチューニングが必要だ。
 さらに今大会ではメジャーですでに採用しているピッチクロックとピッチコムが導入された。これについては宮崎の事前合宿にアドバイザーとして参加していたダルビッシュが「日本のキャッチャーは打者の表情とかその前のスイングの動きで配球を決めていくところがあるので、それはピッチクロックと相性が悪い。ある程度相手の傾向をデータで理解した上で、その道筋を立てて打者と対戦しないといけない」と話していた。
 サイン交換に時間が割けないからこそ、あらかじめバッテリーでデータに基づいた攻め方を共有していないといけない。秒数に慣れること以上に、そこがポイントになってくると感じている。そして、そういう野球をすでに海外はしているということだ。日本の野球とは―と考えさせられるが、その潮流には逆らえないだろう。 (土屋善文)

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