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同点で打った勝負手効く…走らない尾田が成し遂げた“代走の任務” リランソの球速低下を誘い阿部の一発呼び込む

2026年7月22日 10時20分

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ヤクルト―中日 8回表無死一塁、勝ち越し2ランを放ち喜ぶ阿部(武藤健一撮影)


◇渋谷真コラム・龍の背に乗って
◇21日 ヤクルト4―11中日(神宮)
 最後は大差がついたが、7回までは同点だった。7回を3人で抑えた橋本と、直後の8回に打者4人で1死も取れずに降板したリランソ。セットアッパーの明暗が分かれたが、リランソの防御率は0・00(失点は2)だった。19試合、69人目で浴びた初被弾。主演はもちろん阿部だが、助演は代走・尾田だった。
 先頭の細川が四球を選び、井上監督は細川をベンチに下げる勝負に出た。バントはない。あるなら二盗。けん制を2球投げさせたが、尾田はスタートは切っていない。要するに大したことはやっていないのだが、リランソは明らかに警戒し、嫌がっていた。阿部のカウントが2ボールになったところで、捕手の古賀がマウンドへ行き、内野手が集まっている。恐らくは打者に集中させたかったのだろうが、なお制球は定まらなかった。4球目にようやくストライクが入ったが、5球目を阿部は仕留めた。
 代走の任務は盗むことだけではない。盗まないことにも効果があると、この日の尾田は証明した。それは球速に表れている。リランソの投球は6割以上が速球だ。細川には7球中6球、阿部には全5球がそうだった。しかし細川には153~156キロ(平均154・5キロ)だったが、阿部には151~154キロ(同151・8キロ)。この2・7キロの減速こそが、尾田の仕事だった。
 「タイミングを計ってはいましたが、擬装(スタート)もできていないし、自分ではプレッシャーになったかどうかわかりませんが…。(代走が)走るだけじゃないっていうのは頭に置いています」
 尾田は頭をかいたが、コントロールと集中を乱し、クイックモーションでスピードを落とさせた。盗むぞ、走るぞと見せかけるのも助演の仕事。阿部が134・4メートル先まで飛ばしたのだから、誰が走者でも生還はできた。だが、あの減速は誰にでもできるわけではない。同点で打った勝負手は、ひそかに効いていたのだ。
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