週刊誌に伝えたいこと

 【10月8日】

 週刊誌の編集者からインスタで連絡があった。媒体を伏せたくないので書くが、講談社「週刊現代」からの出演依頼である。テーマは「阪神タイガースと藤川球児監督」だという。

 詳細を見れば、どうやら対談形式で「熱討スタジアム」という同誌の名物ページだそうだ。編集者の方は言う。

 「SNSなどで藤川監督について厳しい意見も散見されますが、球団初のリーグ連覇を成し遂げたことをポジティブに捉えての鼎談にしたい」

 こちらの勝手な認識だけど、週刊誌の読者にウケる内容とは、ずばり「ゴシップ性の見出し」がつくような…。つまり「世間の好物」を活字にする誌面だけど、今回はポジティブな鼎談と仰る。偏見の押しつけは良くない。

 こちら、拙筆者のちっぽけなプライドで一貫したスタンスがある。これまで何度か週刊誌から取材依頼を受けたことがあるが、いつも匿名での出演はお断りする旨をお伝えしてきた。

 「在阪紙の記者」「阪神に詳しいライター」。そんな肩書で出てくれと仰るなら、他の方を…と。

 ご依頼のテーマ「藤川球児」については、いろんな噂話が独り歩きしていると思う。人には多面性があるが、それを一つの側面で偏って見れば、ほぼ100%、悪人になりうる。例えば…

 シーズン真っただ中の指揮官球児は、球場の通路でほぼほぼ人と挨拶を交わさない。何なら目も合わさない。

 今年ラストの巨人戦となった10月1日の試合直前を振り返れば、こんなことがあった。甲子園の通路で球団社長の粟井一夫とともに話をしていると、そこへ球児が通りかかった。粟井も僕も当然あいさつをするわけだが、背番号22はこちらに一瞥もくれずにベンチへ。もし、このシーンを目にした「ある在阪記者」が切り取って週刊誌に伝えれば、どんな見出しがつくか。

 粟井はもちろん僕もその行為に対しネガティブにならないのは、球児に一切悪気がないことを知るからだ。粟井は言った。「試合前でいえば、今年一番いい顔じゃない?いい感じで入りこんでいたね」。このゲームは5時間を超える熱闘でマジックは「2」。「価値あるドロー」だった。虎将は極限の集中で天王山へ向かっていたのだ。球児の多面を知れば、通常運転。他にもそういう類いは沢さんある。

 ルーキーイヤー、いや、新入団会見の藤川選手も取材した。全く多くはないが、素顔、普段着の球児を見る機会もあった。心ある男。和を尊ぶ戦士。現役時代の印象は今も消えない。そんな彼が一昨年秋の監督就任会見で「24時間『私』はない」と言った。カラダはもつのか…咄嗟に案じたし、実際に今年は変調をきたした話も聞こえてきた。今年6月、共通の戦友が亡くなった夜に、球児が「風さん、体気をつけて」と言ってくれたことは忘れない。

 一見ヒールの仮面をかぶってきた球児が143試合走りきった。そして、勝った。嫌われ者に徹すればカラダは蝕まれる。週刊現代さんに出演するなら、ポジティブに変換できるものが幾つかあるかもしれない。=敬称略=

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