「三流」が群れる理由
【10月12日】
スーツを着て昼前に阪神電鉄本社へ…虎番キャップ時代のルーティンだった。本丸、親会社を知らずしてタイガースを語れない。そんな勝手な信念でよく通った当時を懐かしく思う。
ときの阪神オーナーに「ちょっと行きましょか」と誘っていただき、大阪野田界隈のお鮨屋さんにお供する。珈琲をご一緒する。いい時間だった。
そこで聞いたハナシを即日書いたことは一度もないが、後に答え合わせすることは多かった。そもそも球場に通うことが自分の仕事じゃない、とさえ思っていた。周りから見れば神出鬼没だろうけど、何を思われようが気にしないタチ。球場で仲間とガヤガヤして一日を終える…ちょっとちゃうな。そう感じてからは昼の野田と朝の球団周りが僕の「職場」になった。
そんなシゴトの恩恵は、当時はもちろん、ありがたいことにこの立場になってからも享受している。
というか、CS直前に何のハナシ?
DeNAとの決戦に向けた選手の息づかいを…いや、それは番記者の記事を読んでいただくとして、こちらが伝えたいことは別にある。
「どの世界もそうだと思いますが、先輩たちが築いてこられた環境、伝統に感謝して、自身のできることに精いっぱい取り組むことが未来を形作っていくのだと思います」
これは阪神電鉄本社の常務取締役、谷本修から聞いた言葉である。
なぜ、そんな話になったかといえば僕がいま読んでいる本について谷本に伝えたからだ。
三流は群れる。一流は群れない-。
本の論旨はそんなところだが、いまの阪神が一流である所以が綴られているようで、ビンビン琴線に触れる。
自身のできることに精いっぱい…
みんなそのつもりでやる。が、一流はその根拠がひと味違う。
谷本といえば、タイガースの球団本部長、副社長を歴任し、現在は本社の大幹部。球団時代の功績をリスペクトする虎党から「谷本神」と呼ばれるほどだが、この方、金本知憲から絶大な信頼を得ていたことでも(我々界隈では)有名だ。アニキが敬意を抱いたのは、谷本が「違和感」に同調することなく、毅然と環境整備に心血を注いだから。群れない者は群れない者を信奉する。その典型とでもいうべきか。
ちなみに、三冠王、佐藤輝明は群れない象徴だと思う。他の主力の面々も皆そうだ。プロの競技者を長年取材するオッサンは大体分かるようになってきた。一流になる者は確かに若いころから群らがらない。逆に群れる者がそうする理由は「自分の考えが合ってるか不安だから」。「同調していれば否定されないから」。本にそうある。
藤川球児??一流は群れない。
群れなければときに孤独になる。でも、そんなことよりも、先人が築いた伝統に感謝し、未来を形作ってゆく…その目標を見失う方がよっぽど愚かであることを球児はよく分かっている。たとえ孤立しても、自分が抱く違和感に正直に進むべき。そう考えているように映る。=敬称略=
