CSファーストステージでDeNAに敗れ、今季の戦いを終えた巨人。来季に向けたチーム編成が進む中、注目のひとつが助っ人投手の去就だ。球団は来日1年目のブライアン・マタ投手(27)に来季の残留を要請するとみられている。
今季は7試合に先発して2勝1敗、防御率2.65。9月上旬に右肘の違和感を訴えて以降はリハビリに専念し、不完全燃焼でシーズンを終えた。数字だけを見れば判断の難しい側面もあるが、〝大化け〟の可能性を秘める最速161キロ右腕は、手放すには惜しい逸材であることは確かだ。
2016年に米大リーグ、レッドソックスに入団。メジャーでの登板こそないが、マタが所属する代理人事務所「OL Baseball Group」の担当代理人は「MLB全30球団のうち、マイナー契約を含めれば27球団からオファーがあった」と巨人入団前の2025年オフに水面下で争奪戦が起こっていたことを明かす。
若い選手をじっくりと育成する土壌が整っている点に魅力を感じ、韓国なども含めた多くの選択肢の中からNPB入りを選択。しかし、来日当初は日本野球への順応に苦しんだ。
5四死球を与えて今季最短の2回⅔で降板した4月25日のDeNA戦(横浜)後には、阿部監督(当時)から「ただで塁に出したらいけない。ちょっと考えないといけない」と課題の制球難を指摘された。
その後約3カ月間のファームでの調整を経て、8月20日のDeNA戦(横浜)で5回5安打3失点7奪三振3四死球と試合を作り、来日初白星。続く同27日のヤクルト戦(神宮)でも七回途中までに6つの四死球を与えながら、1失点にまとめて2勝目を挙げた。
ある球団関係者は「(ストライク)ゾーン内で荒れるのがマタのいいところ。むしろ、まとまってしまった方が相手はやりやすくなる。それだと怖さがないので」と〝荒れ球〟こそがマタの最大の武器だとしたうえで、「それでも開幕当初とは内容が全然違う。同じ四球でも今は勝負にいった上での形」と右腕がシーズン終盤に見せた確かな成長を感じ取っている。
春季キャンプのブルペンでは自ら志願してセットポジションから投げ込み、「日本の野球に順応するためにはクイックが大事」と練習に励む勤勉さを併せ持つナイスガイ。左手甲に刻まれたタトゥーには「RESPECT」の文字が刻まれている。「リスペクトは大事。それがないと、いい人間にならない」と語る通り、異国の野球を尊重する姿勢を貫いてきた。
巨人残留が決まれば、周囲をあっと驚かせる2年目の逆襲を期待せずにはいられない。(依田雄太)