映画監督に著作権がないってご存じですか?(上)

[ 2025年3月6日 15:00 ]

「映画監督って何だ!」の上映会とシンポジウムの告知チラシ

 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】日本映画監督協会と日本シナリオ作家協会が共同で企画した上映会とシンポジウムが東京・神田駿河台のアテネ・フランセ文化センターで2月22日に開かれ、足を運んだ。

 「映画の著作権について」がテーマで、まず「映画監督って何だ!」が上映され、その後に2部構成でパネリストが思い思いの持論をぶつけあった。

 監督協会が創立70周年(2006年)を記念して創ったのが「映画監督って何だ!」だ。もう19年も前になるが、みじんも古さを感じさせない。

 「女囚さそり」シリーズ(1972~73年)や「誘拐報道」(82年)、「プライド・運命の瞬間」(98年)などで知られる伊藤俊也監督(88)が脚本・監督を担当。旧著作権法では監督にあった著作権が、1970年の改定で奪われたため、奪還運動に乗り出した監督たちの活動がニュース映像や多くの証言で構成される。加えて小栗康平(79)、阪本順治(66)、梶間俊一(81)、若松孝二(故人)、沢島忠(故人)ら名だたる監督たちが出演した劇中劇で分かりやすく解説され、展開していく。弁士を小泉今日子(59)と成田裕介監督(71)が務め、ナビゲートしていく。

 映画の中に登場した証言で目を引いたのは次の3点。

 (1)田坂具隆監督の「陽のあたる坂道」の尺(上映時間)をめぐる映画会社と監督との攻防を語る熊井啓監督。

 (2)「映画監督からは誰も戦犯者は出ていない。会社の責任者が戦犯になって追及を受けた」との東宝の藤本真澄氏の主張に反論する山際永三監督。

 (3)映画は写楽の浮世絵のようなもので、摺師(すりし)、彫師などいろいろな人の作業があってできているが、紛れもなく写楽の作品だ、と主張する篠田正浩監督。

 (1)の熊井監督は1996年1月から3月まで「シナリオのない深い話」をスポニチで連載。「“映画の計”はクランク・インにあり」「“五”にこだわった五所平之助監督」「才能発掘を怠った邦画界」など、毎回興味深いコラムを寄せてくれた。

 (2)の山際監督にもお世話になった。「網走番外地」シリーズなどで知られた石井輝男監督の一周忌に網走市内の潮見墓園に墓が建立され、同行して手を合わせてきた。「安らかに 石井輝男」の碑文は高倉健さんの直筆。あれは06年8月5日のことだが、きのうのことのように覚えている。

 テレビ映画「チャコちゃん」シリーズや「コメットさん」「帰ってきたウルトラマン」などを世に送った山際監督も昨年11月28日に92歳で永眠。冥福を祈るばかりである。

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