落語&トーク、三三の話芸に昼から酔っ払った!

[ 2025年8月13日 19:30 ]

柳家三三の独演会チラシ
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】人気と実力を兼ね備えた当代屈指の気鋭落語家・柳家三三(51)の話芸を堪能した。8月12日の東京・文京シビックホール小ホール。2023年4月から隔月で開催している「平日昼の独演会」だ。

 火曜日午後1時半の開演だが、341ある客席はぎっしり。定年後に“第2の人生”を楽しんでいる年配の方が多かったようだが、それにしてもたいした人気。追っかけファンもたくさん見えた。

 先陣を切ったのは二つ目ゲストの古今亭佑輔(31)だった。8月10日に自身のX(旧ツイッター)を更新して、3月に一般男性と結婚し、第1子を妊娠していることを公表したばかり。三三も「みめ麗しき」と表現するべっぴんさんだけに、このニュースに失恋感情を抱いた男性ファンは少なくなかったかも知れない。

 名前に「輔」がついていることとキリリとした“男前”のルックスも相まって「よく男性と間違えられるんですが、女です」と自己紹介で笑わせた佑輔は「壺算」を熱演し、三三にバトンを渡した。

 1席目の演目に三三は「高砂や」をかけた。婚礼の仲人を頼まれた八五郎が、知り合いのご隠居さんに「ご祝儀に“高砂や”くらいはやらなくちゃダメだ」と言われて苦労する爆笑話。“おめでた”の佑輔に送る心憎い演目だ。三三の優しさが垣間見れた。

 中入り後は「三三への質問コーナー」で、佑輔がお手伝いで再登場。師匠の故柳家小三治についてのクエスチョンから互いの師匠の話が展開。三三は小三治師は近寄りがたいオーラを発しながら、実際は「かまってちゃん」だったという秘話を明かして笑わせた。

 対して佑輔の師匠は古今亭志ん輔(71)。かつて朝太を名乗っていた師匠がNHK「おかあさんといっしょ」に15年間出演していたのは知らないと明かし、月日の流れを感じさせた。

 途中、三味線の師匠が佑輔のために「こんにちは赤ちゃん」を送ったり、三三が好きというブラームスの交響曲1番第4楽章のおなじみのメロディーをつま弾くなど、その当意即妙さには驚きもし感心もした。

 最後は佑輔が、父・三三の後を追って落語家の道に進み、柳亭市馬(63)に入門した柳亭市吾(28)について質問すれば、逆に三三は「(夫を)なんて呼んでいるの?」と佑輔に質問し、「ジュンヤ…」と新婦の恥じらいを引き出した。

 このコーナーが終わって、いよいよ三三のトリネタ。披露したのは“近代落語の祖”と言われる三遊亭圓朝作の「真景累ケ淵」の中から「豊志賀」の部分だった。前日の8月11日は圓朝の命日。台東区谷中の全生庵で「谷中圓朝祭り」が8月1日から31日まで開催中だが、まさしくこの時期にふさわしい怪談噺だ。

 根津七軒町に住む富本節の師匠・豊志賀。男嫌いが売りで、40歳になろうとするのに独身を貫いているが、21歳の弟子・新吉と深い仲になる。ところがこの2人には因縁があって…。20年前、皆川宗悦という金貸しが深見新左衛門という旗本に斬り殺される事件があった。宗悦の娘が豊志賀で、新左衛門のせがれが新吉という流れ。
 通しでやると、1日に1時間しゃべっても15日はかかると言われる大長編。その中でも、よく取り上げられるのが「豊志賀」で、三三の真に迫った高座にグイ~っと引き込まれた。

 圓朝作では「牡丹燈籠」や「怪談乳房榎」なども有名だが、三三の偉いところは、柳派を率いて圓朝と双璧(へき)をなした談洲楼燕枝の長編噺「嶋鵆沖白浪(しまちどりおきつしらなみ)」を口演するなど、優れた作品を後世に残そうと努力しているところだ。

 「高座に出ている時が一番楽しい」と笑顔で公言する三三。会場では来年1月19日に同ホールで行われる「第4回 雲助・三三 新春二人会」のチケットも売り出されていたが、長い列が出来る人気ぶり。人間国宝の五街道雲助(77)と、次代の国宝候補と言って過言では無い三三の競演。「あら、この日はダンスの日だわ」と残念がった中年女性の嘆きの声がおかしく耳に残った。

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