北香那 夜ドラでコメディエンヌの魅力 「中学生くらいまで芸人になりたかった」

[ 2026年1月7日 12:00 ]

夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」第2回で、泣いて化粧が落ちた顔で説教する佳里奈(北香那)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】1月5日スタートのNHK夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」(月~木曜、後10・45)に主演してコメディエンヌの魅力を発揮している俳優・北香那(28)がインタビューに応じた。

 ──コメディエンヌの原点を教えてください。
 「小学生の頃、『爆笑レッドカーペット』『エンタの神様』『M-1グランプリ』などで芸人さんを見てかっこいいと思い、あこがれていました。生のお笑いもよく見に行っていて、テツandトモさんが観客に向かって『一緒にやりたい人?』と尋ねた時、誰よりも高くジャンプして『はい!はい!』と応えたら『そこの元気のいい女の子』と指してもらって一緒に『なんでだろう』をやりました」

 ──その後は?
 「中学生くらいまで芸人になりたいと考えていました。お笑いの世界は男性が多いので女性芸人が輝けるのではないかと子供心に思っていました。友だちの女の子を誘って、コントや漫才のネタを考え、学校内の広場に友だちを集めてショータイムみたいな感じでネタを披露したこともありました。でも、全くウケませんでした。どんなネタだったか具体的に覚えていませんが、誰かを真似た1発ギャグだったと思います。3歳の頃には『女優になりたい』と言っていたので、あの頃の行動は私が何かを表現する入り口だったかもしれません」

 ──笑いと言えば、2024年11~12月にオムニバスコントの舞台「主婦米田時江の免疫力がアップするコント6本」(作・演出は宮藤官九郎、共演は片桐はいり、勝地涼ら)に出演しました。
 「初めてのコントで、学びがありました。お客さんは正直です。稽古で関係者に受けていたことが本番でお客さんに受けないということがありました。学んだことの一つは『押して駄目ならもっと押す』です。受けなくて引いてしまったら、お客さんはさらに引いてしまう。そこでもっと押すと突き抜けることができる。その面白さを知りました。お客さんに笑って頂いた時の快感も味わいました。最高に楽しい体験でした」

 ──「替え玉ブラヴォー!」第2回(1月6日放送)に主人公・佳里奈の個性を端的に表すシーンがありました。トラブルで悲惨な状況に陥り憔悴しきった佳里奈が、公園で倒れて泣いている女児に対し、冷ややかに「そうやって泣いていても誰も助けてくれないの」と説教するところが愉快で秀逸でした。
 「大好きなシーンです。どうすれば面白くなるか、こだわって考えました。『大丈夫?って言ってもらうのを待ってるんでしょ?』というセリフは、ニュアンスを変えると全く違って聞こえます。本人は自分が言っていることが正しいと確信して堂々としているのに、聞く人には違和感を与える。そんな言い方を意識しました。ドラマの作者・岸本鮎佳さんの舞台を撮影前に拝見していたので、セリフ回しはその影響も受けています」

 ──佳里奈は時に他人の気持ちを全く考えずに自らの思いを口にすることで周囲との摩擦を生み、そこが見ていて可笑しくもあります。
 「若干、自分の幼少の頃を見ているような感覚があります。私も小さい頃は思うままを言葉にして行動していましたが、大人になるにつれて空気を読むようになりました。だから、うらやましいと思う部分もあります。佳里奈は素直な女性で、ブレーキが効かず、相手にはっきり伝えることが正義だと思っています。幼いけれど愛すべきキャラクターであることが伝わればいいなと思いながら演じました」

 ──ラーメン好きの佳里奈が勢いよく麺をすする姿が微笑ましいです。
 「モニターで確認した時、『一口、大きッ』『咀嚼、少なッ』と驚きました。あれは私のいつもの食べ方で、素の部分です。子供の頃から食べるのが早くて遠足でも誰よりも早く食べ終わっていました。ただ、勢いよく食べる表現としてはチーフ演出の中島由貴さんら演出の方々に『いいと思います』と言ってもらいました」

 ──今回初めてテレビのドラマに単独で主演したことについては?
 「面白い脚本を自分が広げられるかという不安がありました。でも、撮影が全て終わった今、振り返ってみると、現場が楽しくてずっと笑っていたことを思い出します。充実した時間でした」

 ──演じきった達成感は?
 「演じきったという感覚より、みんなで作ったという感覚の方が大きいです。自分の考えや表現したいことをかなり採用して頂きましたが、中島さんら演出の方々に助けられ、感謝の気持ちでいっぱいです」

 ──役者として全20回(1回15分)のこのドラマから得たものは?
 「役と向き合う時間がこれまでで最も長かったです。これほど多いセリフ量も初めてです。たくさんのセリフを覚えて佳里奈という人物を長く表現していく過程を経験して自信がつきました」

 ──俳優業を始めてからおよそ15年たちました。
 「少しずつ階段を上らせて頂いていることへの感謝、さまざまな出会いへの感謝があります。役者を始めた頃は将来どうなりたいかという考えがあまりありませんでした。なぜかと言えば、目の前のことにずっと必死だったからです。悔しい思いもしました。私はオーディションに500回以上落ちています。でも、こんな面白くて最高な作品に出演させて頂いて、あきらめずにここまで続けて来て良かったと思っています」

 ──近年は2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」で家康(松本潤)の側室役、現在放送中のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」で県知事(佐野史郎)の娘役を演じるなど、充実している印象があります。
 「マインドの変換が私の課題でした。ここ数年は初めて挑戦することが多く、初めてのことに対しては不安や緊張があるものですが、昨年から『楽しむんだ』という気持ちに切り替えました。そういう気持ちでいると、気負わずに自然体でいられます。それは自分に優しい方法でもあります」

 ──今後どのような役者を目指しますか?
 「これからもいろいろな役を幅広く演じて行きたいと思っています。この作品の私と『ばけばけ』の私は違う人に見えるかもしれません。芝居の幅と言うとおこがましいですが、そういう部分を見て頂けると嬉しいです。どんな役者になりたいかを答えるのはなかなか難しいですが、間違いなく言えるのは、この仕事が楽しいのでずっと続けて行きたいということです」

 ◇北 香那(きた・かな)1997年8月23日生まれ、東京都出身の28歳。2017年からのドラマ「バイプレイヤーズ」シリーズで注目される。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22年)や夜ドラ「おとなりに銀河」(23年)、映画「春画先生」(同年)などに出演して活躍中。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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