少しそそっかしくて、誰よりも真面目--Next☆Rico吉村侑莉 新曲「TickTack」に刻む“同じものは見せない”職人の顔

[ 2026年6月28日 07:30 ]

【画像・写真1枚目】少しそそっかしくて、誰よりも真面目--Next☆Rico吉村侑莉 新曲「TickTack」に刻む“同じものは見せない”職人の顔 (撮影・彩本 芽生)
Photo By スポニチ

 9人組アイドルグループ「Next☆Rico」が30日に2ndシングル「TickTack」を発売する。これを記念して、吉村侑莉がスポニチ東京本社でソロインタビューに臨んだ。3部作で届けるインタビューの第1部は、新体制のスタートを飾る最新曲「TickTack」の魅力や注目ポイントを深掘り。さらに、「同じものは見せません」と語るステージへのこだわりや、一瞬一瞬の表現に全力を注ぐプロ意識にも迫った。(「推し面」取材班)

 取材当日の朝は、小さな“パニック”から始まった。

 スポニチ東京本社へ向かう途中、地図アプリを見誤り、たどり着いたのは別の新聞社だったという。「やばい、やばいってなりました」。そう振り返りながら笑う姿はどこか親しみやすく、気取ったところがない。集合時間を気にして慌てた様子を身ぶりを交えて再現する姿からは、ステージ上で見せる凛々しさとは少し違う素顔ものぞく。

 ところが、新曲「TickTack」の話題になると空気が変わった。発音、表情、感情の乗せ方――。一つの質問にも言葉を選びながら丁寧に答えを探していく。その姿から見えてきたのは、ただ歌って踊るだけではない、一つのステージを作り上げる表現者としての顔だった。

 「やばい顔をする時は、本当にやばい顔をします」

 そう言うと、取材テーブル越しに大きく目を見開いてみせる。「にっこりって歌詞があったら本当に笑顔にするし、怒るだったら怒る顔をするし」。言葉に合わせて次々と表情が変わる。ほんの数秒のやり取りだったが、ライブ中の姿が自然と目に浮かんだ。

 「だからライブ後は表情筋がおかしくなっちゃうこともあります」

 冗談めかして笑うが、その裏側には譲れない信念がある。歌うだけでは足りない。踊るだけでも足りない。歌詞の一言一言に感情を宿し、その瞬間だけの表情を作る。客席の誰かにとって、その日が初めて見るNext☆Ricoかもしれないからだ。同じ曲を何度披露しても、同じライブは一つとして存在しない。その考え方は、新曲「TickTack」に向き合う姿勢にも色濃く表れていた。

 初めてタイトルを聞いた時の印象を尋ねると、表情がぱっと明るくなった。

 「結構Next☆Ricoってトンチキソングというか、そういう曲も多いので、『TickTack』って聞いた時は、もしかしたらそういう系かなって思いました」

 当時はタイトルだけが先に発表されていた時期だった。しかもグループにとっては大きな転換点でもあった。3人の卒業を経て、新しい体制へ歩み始めるタイミング。だからこそ、どんな楽曲が届くのかを誰よりも楽しみにしていたという。

 「生まれ変わるためにも、明るい曲だったらいいなって」

 そんな期待を胸に受け取った楽曲は、想像以上に“ネクストらしい”ものだった。

 「TickTack ピンポン! Pa! パリラ」

 歌い出しのフレーズを口にすると、思わず笑みがこぼれる。「歌い出しからネクストっぽいなって思いました」。最初は時計の音というより、魔法の呪文のような印象だったという。

 しかし、何度も繰り返し聴くうちに見えてくる景色が変わった。歌詞を追い、メロディーをなぞり、言葉の意味を考える。その時間の中で、「TickTack」というタイトルは別の表情を見せ始める。

 「時計というか、針で、みんなと過ごした時間みたいな意味合いがあるのかなって考えたりしました」

 メンバーと積み重ねてきた日々。ファンと共有してきた思い出。そして新体制として歩き出した未来。一見するとポップでカラフルな楽曲の奥に、そんな時間の流れを感じ取っていた。

 ライブで注目してほしいポイントを聞くと、返答は驚くほど具体的だった。

「2番で青海マホちゃんと歌うところはすごく楽しんでいます。あとサビ前も担当しているので、そこは気持ちよく歌わせていただいています」

 さらに熱を帯びたのがセリフパートの話だった。彩本芽生の「どこか一緒に遊びに行かない?」に続いて始まる長いフレーズ。ライブでは自然と視線が集まる場面でもある。

 「結構長いのでかまないようにというのもありますし、ご新規さんにも分かりやすい発音を心掛けています」

 一見すると小さなこだわりかもしれない。だが、その視線は常に客席へ向いている。初めてライブを見る人にも伝わってほしい。誰が聞いても言葉が届いてほしい。そのためなら一音一音の発声にも神経を使う。楽しそうに話していた表情の奥から、ステージを支える職人の顔がのぞいた。

 話題がパフォーマンス論に及ぶと、言葉にさらに熱が宿る。

 「結構考えていると思います。いつも同じになっちゃうのは飽きさせてしまうかもしれないので。もっといろんな表情の自分を見せたいんです」

 ライブは生ものだ。客席の空気も違えば、その日の感情も違う。同じ楽曲でも、その日だけの表現がある。だから決まった正解をなぞるのではなく、その瞬間にしか生まれない感情を探し続ける。

「ステージごとに、もしかしたら表情も違うかもしれないです」

そう話したあと、少しだけ間を置いた。

「同じものは見せません。そういう意識で」

 力強く言い切るというより、それが当たり前であるかのような口調だった。その短い一言に、積み重ねてきた時間と覚悟がにじんでいた。

 時を刻む音を意味する「TickTack」。その秒針は、新しいNext☆Ricoの時間を刻み始めている。そしてステージに立つ表現者もまた、一公演ごとに違う表情を刻み続けている。

 取材当日、別の新聞社へ向かってしまったと笑っていた姿と、発音や感情表現を語る真剣な横顔。そのどちらも吉村侑莉という人間の一部なのだろう。

 少しそそっかしくて、誰よりも真面目。ポップなメロディーの奥で鳴り続ける「TickTack」の音は、そんな表現者の矜持を静かに刻んでいた。

続きを表示

この記事のフォト

「【推し面】女性アイドル全員ソロインタビュー~バズでは分からない、推しの“人生”がある~」特集記事

「美脚」特集記事

芸能の2026年6月28日のニュース

タグ内の最下位に記述をオススメします ここから-->