金髪に込めた“埋もれたくない”気持ち--Next☆Rico吉村侑莉 仲間を思う優しさと9人体制で誓う譲れない居場所

[ 2026年6月28日 12:05 ]

【画像・写真2枚目】少しそそっかしくて、誰よりも真面目--Next☆Rico吉村侑莉 新曲「TickTack」に刻む“同じものは見せない”職人の顔 (撮影・彩本 芽生)
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 新メンバー4人を迎え、グループ史上最多の9人体制となった「Next☆Rico」。変化の真っただ中にいる吉村侑莉は、今のグループをどう見つめているのか。3部作の第2部では、新たな仲間と歩み始めた現在地に加え、「埋もれたくなかった」と振り返る金髪への思いを深掘り。優しさの裏に隠れた負けず嫌いな素顔に迫る。(「推し面」取材班)

 インタビュー中、何度か髪に手をやる仕草があった。

 ステージの上ではひときわ目を引く明るい髪色。その理由を尋ねると、少し照れたように笑った。

 「埋もれたくなかったんです」

 柔らかな口調だった。しかし、その言葉には新体制を迎えた一人のアイドルの危機感がにじんでいた。

 今年3月、Next☆Ricoは4人の新メンバーを迎え、グループ史上最多となる9人体制で新たなスタートを切った。長くグループを見続けてきた立場だからこそ、その変化は誰よりも大きく感じていたという。

 「今回の新メンバーの子たちって、元々表舞台に立っていた子が多いので、みんな堂々としているんです」

 デビューライブで感じたのは勢いだった。もちろん経験の浅いメンバーもいる。それでも周囲に負けまいと懸命に表現する姿に刺激を受けたという。

 「私たちも負けないように頑張ろうって思えるんです」

 穏やかな話し方の中に、ふと熱が混じる。同期の雛瀬ひいなと話していても、「昔のネクストと本当にガラッと変わったよね」という話題になることがあるという。ファンからも同じような声を掛けられることがあるが、その変化を最も強く実感しているのは、毎日同じステージに立つメンバーたちなのだろう。

 「もちろんほんわかした部分は残っているんですけど、一人一人が切磋琢磨していく力は前より強くなった気がします」

 9人になったことで生まれたのは安心感だけではなかった。一人一人のキャラクターが濃く、経験も個性もある。だからこそ、何もしなければ埋もれてしまうかもしれない。そんな思いが胸のどこかにあった。

 だから髪を染めた。

 「新メンバーが入る話は前から聞いていたので、絶対に埋もれないようにしようと思って」

 もともと明るめだった髪色をさらに変えていった。背中を押したのは、以前プロデューサーの青海マホから掛けられた言葉だった。

 「あの時のゆりっぺ、本当にかわいかったよ」

 かつて短い期間だけ挑戦した金髪。その何気ない一言がずっと心に残っていたという。「どうせなら思い切ってやっちゃおうかなって」。そうして少しずつ明るくなった髪色は、今ではグループの中でも強い存在感を放つようになった。

 ただ、話を聞いていると、それは単なるイメージチェンジではないことが分かる。

 「負けず嫌いなのかもしれないですね」

 そう言って笑ったあと、自然と子供時代の話になった。

 「お兄ちゃんがいるんですけど、昔からずっとライバルみたいな感じで生きてきたので」

 兄に負けたくない。もっと頑張りたい。もっと認められたい。そんな感情を抱えながら育ってきた。新しいメンバーが加わった時も、真っ先に浮かんだのは不安よりも「負けていられない」という気持ちだったという。

 もっとも、その競争心だけでここまで歩いてきたわけではない。吉村のもう一つの魅力は、その温和な人柄だ 。

 メンバーカラーは「田舎っぺグリーン」。茨城の山あいで育ったことに由来する名前だ。もともとは先輩からの助言だったというが、その呼び名にはどこか人柄も表れているように思えた。

 話題が特技になると、保育士として働いていた頃の話になった。

 「私、基本的に一回受け止めるんです」。相手の意見が違うと思っても、まずは共感する。子供たちと向き合う中で自然と身についた習慣だったという。

 「そうだよねって、一回受け止めてから考えることが多いです」

 ライブ後の特典会でもその姿勢は変わらない。相手の話を聞き、気持ちを受け止める。だから周囲からは「優しい」と言われることも多い。どこかホッとする空気感は、茨城育ちの「田舎っぺグリーン」らしさなのかもしれない。

 それでも、その優しさの裏には誰にも負けたくない気持ちも同居している。仲間の活躍はうれしい。それでも自分も負けたくない。新メンバーを応援したい。それでも自分の存在も見つけてほしい。

 その相反する感情を抱えながら、ここまでグループと歩んできた。柔らかな空気をまといながら、その内側では絶えず自分を奮い立たせている。優しさと競争心。一見すると相反する二つの感情が、不思議なバランスで共存している。

 「自分の気持ち的に弱いところがあるので」

 そう話したあと、少しだけ視線を落とした。

 「それを見せないための盾じゃないですけど、この金髪は自分を守るための一つの手になっているのかもしれません」

 印象的だったのは、その言葉が強がりには聞こえなかったことだ。不安もある。焦りもある。それでも前へ進みたい。もっと輝きたい。そんな思いを抱えながら、新しい体制の中で自分の居場所を探し続けている。

 「埋もれたくなかったんです」。インタビュー中に発せられたその一言は、単なる髪色の話ではなかった。変化を恐れず、新しい仲間を迎え、それでも自分らしくあり続けたいという願いだったのだろう。

 9人の輪の中で輝くために。そして何より、自分自身を見失わないために。その明るい髪色は今日も、静かに意志を語っている。

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