29年ぶりの金獅子賞に期待!

[ 2026年8月3日 16:30 ]

「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」のメイン写真(C)Mr.Nelson,Did You kill People? Film Partners
Photo By 提供写真

 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】イタリアの水の都で9月2日から12日まで開催される第83回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に日本人監督の2作品が選出された。最高賞の金獅子賞に届くか、結果が楽しみだ。

 独のベルリン、仏のカンヌと並んで世界三大映画祭と言われるベネチア映画祭。コンペ部門にノミネートされるだけでも大変な栄誉だ。是枝裕和監督(64)の「ルックバック」と塚本晋也監督(66)の「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」が頂点を目指す。

 「ルックバック」は藤本タツキさんの同名漫画が原作。漫画を通して出会い、心を通わせていく2人の少女の13年に及ぶ軌跡を実写で描いた青春ドラマで、出口夏希(24)と蒔田彩珠(24)がダブル主演。9月11日の日本公開が決まっている。是枝監督は「箱の中の羊」が5月に開催されたカンヌ映画祭のコンペ部門にもエントリーされ、まさしく“世界のコレエダ”の面目躍如といえよう。

 同じく9月11日に日本で封切られる塚本監督の「ネルソンさん…」は、18歳で海兵隊に志願したベトナム帰還兵アレン・ネルソンさんが加害者の視点から自らの体験をつづったノンフィクション「ベトナム帰還兵が語る『ほんとうの戦争』」(講談社文庫)を実写化した作品だ。

 試写会でお先に拝見した。セリフはほとんど英語。プロダクションノートによると、撮影はタイ、米国(ニューヨーク)、日本、ベトナムの4カ国で行われ、監督自身「想像に及ばない規模の撮影になった」と話すほどのスケール感で迫ってくる。
 「野火」(14年)、「斬、」(18年)、「ほかげ」(23年)の戦争三部作に続く最終章にして決定版の位置付けで、木下グループが製作に当たり、キノフィルムズが配給。ベトナムの戦場でネルソンさんが発症させたPTSD(心的外傷後ストレス障害)の恐ろしさ、帰還後もフラッシュバックから抜け出せないジレンマ…時に目を背けたくなる場面もあるが、容赦の無いリアルな描写は戦争というものの実相を如実に映し出していた。

 枯れ葉剤による多発性骨髄腫のため09年3月に61歳で亡くなったネルソンさんは米国だけでなく日本でも1200回以上の講演を重ねて戦争の悲惨さを訴え続けたが、そんなネルソンさんをブロードウェー俳優のロドニー・ヒックス(52)が魂の演技を披露。オスカー俳優ジェフリー・ラッシュ(75)が精神科医を重厚に演じ、作品に厚みを与えている。

 出口が見えないロシアとウクライナ、そして米国・イスラエルとイランの戦争…。「世界がますますきな臭くなってしまっている今、必ず作らなければならない映画」と話す塚本監督のこん身作。これからご覧になる方のために詳しくは書かないが、子供たちの前で、そしてベトナム国民を前に語り始めるネルソンさんの偽りのない言葉は激しく胸に迫ってくる。青年期のアレンを演じたマーク・マーフィー(27)の迫真演技、日本での活動を支える黒井を演じたリリー・フランキー(62)の確かな存在感も書き添えておく。コンペ部門に出品された「鉄男 THE BULLET MAN」(09年)や「野火」などベネチアと縁の深い塚本監督だけに、注目を集めるのは間違いない。

 これまで日本映画は1951年に黒澤明監督の「羅生門」、58年に稲垣浩監督の「無法松の一生」、97年に北野武監督(79)の「HANA―BI」が金獅子賞を受賞。4人目に期待したい。

続きを表示

この記事のフォト

「美脚」特集記事

「【VIVANT考察】最新ニュースを随時更新」特集記事

芸能の2026年8月3日のニュース

タグ内の最下位に記述をオススメします ここから-->