大鶴義丹 父・唐十郎さん結成の伝説的アングラ劇団「状況劇場」令和によみがえらせる

[ 2026年8月5日 04:00 ]

東京・千駄ケ谷の都立明治公園で紅テントを立て「下谷万年町物語」を上演する大鶴義丹
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 劇作家の故唐十郎さんが立ち上げた伝説的アングラ劇団「状況劇場」が、令和によみがえる。唐さんの長男で劇団の看板女優・故李麗仙さんを母に持つ俳優の大鶴義丹(58)が、東京都新宿区の都立明治公園に紅テントをつくり旗揚げ。大鶴は本紙に「自分以外に誰がやるのか。使命感を感じている」と並々ならぬ覚悟を明かした。

 MUFG国立が背後にそびえるモダンな空間。アングラとはかけ離れた光景だが、大鶴は「この場所にドロドロとしたあの昭和がよみがえるんですね…」と思いをはせた。

 状況劇場を象徴する紅テントで、大鶴が演出して「下谷万年町物語」(11月1~10日)を上演する。主演は渡辺謙(66)の長男・渡辺大(42)。終戦直後の混沌(こんとん)とした下町に生きる人々を描いた作品だ。1981年に西武劇場で初演された際は唐さんが原作で、当時無名だった謙が主演。2世同士のタッグも実現した。大鶴は「2世は避けられない運命と向き合う覚悟がある。だからこそ責任感は誰よりもある」。

 偉大な両親と壮大な演劇が身近にあったからこそ「どこか素直になれず親と違うことをしたかった」と映像の世界でキャリアを築いた。ただ、常に唐作品は身近にあり「結局、自分は一番のファンだった。この年齢になり、父の作品を次世代につなぐ意味を感じた」と状況劇場を引き継ぐ決意を固めた。

 「ベンツ1台分くらい」の私財をはたいて紅テントを購入。「テントは役者の息遣いや汗まで感じられる至近距離が魅力。それだけに動員人数も限られているから採算を考えちゃうとね…」と悩ましげだが「だからこそ、これから何度も何度もやっていきますよ」と定期的に上演していくことを約束。希代の演劇人の血を引く大鶴が、ついに大きな一歩を踏み出した。(吉澤 塁)

 《渡辺大 父の思い知れる》主演を務める渡辺大は「どんな思いで父がこの舞台に立ったのか、この作品と向き合ったのかを知るのが今から楽しみです」と興奮を隠しきれずにいる。状況劇場出身の俳優六平直政(72)と交流があり「僕に会うと、いつもこの作品の稽古にうちの父を自転車の後ろに乗せて連れていった当時の思い出を楽しそうに話してくれます」と明かし「エネルギーがほとばしる作品にしたいと思います」と力を込めた。

 ▽状況劇場 63年に旗揚げされた劇団「シチュエーションの会」が前身。李麗仙さんと「金粉ショー」でキャバレーを巡って芝居の資金を集めた。67年、東京・花園神社境内での紅テント公演でアングラ演劇ブームに火を付けた。社会的弱者が主人公になることが多く、生々しい人間の感情を鋭くかつ猥雑(わいざつ)に表現するスタイルが特徴。麿赤児、根津甚八さん、小林薫、佐野史郎らが出身。88年に解散した。
 

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