藤本渚七段 初の王将リーグは「勝負師」スタイルか 7人中、最年少の21歳

[ 2026年8月17日 13:56 ]

王将戦挑戦者決定リーグに初参戦する藤本渚七段は好きな駒だという角を手に取る
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 藤井聡太王将(24)=名人など6冠=への挑戦権を争う第76期王将戦挑戦者決定リーグ(特別協力・スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社)は20日、郷田真隆九段(55)と本田奎六段(29)のカードで開幕する。他に伊藤匠2冠(23)=叡王、王座=、永瀬拓矢九段(33)、近藤誠也八段(30)、藤本渚七段(21)、西田拓也六段(34)が出場。棋士7人が総当たりで6局ずつ指し、挑戦権を争う戦いを前に、藤本に意気込みを聞いた。

 藤井が2023年10月に全8冠を独占して3年近く。棋界のテーマは依然、誰がその行く手に待ったを掛けるのか?だろう。

 タイトル戦は先月決着した棋聖戦までに38回を終え、敗退は2度。いずれも同学年の伊藤が達成した。では他には? 候補の一人に挙がる藤本が初めて、王将リーグに入った。

 1次予選から出場し、狩山幹生五段、谷川浩司十七世名人、森本才跳四段、2次予選では増田康宏八段、中村太地八段、菅井竜也八段を破った。特に2次予選は名人挑戦権を争うA級経験者に全て後手番で勝利した。

 「2年前は2次予選初戦で敗退した。当時はまだ渡り合う力がなかったと思う。(現在はA級のすぐ下の)B級1組なので、戦えないと辛い。2次予選を抜けられたのは自信になりました」と藤本は手応えを語った。

 22年10月に四段に昇段すると、実質1年目の23年度に加古川青流戦で棋戦初優勝するなど51勝して伊藤と最多勝利賞を分け合った。加えて・850だった勝率は・852の藤井に次ぎ、中原誠十六世名人が1967年度に残した・855(47勝8敗)の歴代最高に肉薄した。24年度は17連勝して連勝賞、昨年度は・769で藤井を抜いて勝率1位賞に輝いた。

 リーグ出場棋士を見渡し、「羽生世代は層が厚すぎますね」と印象を語った。8期ぶりに復帰した郷田が現在55歳であることを指摘すると「自分がそれくらいにここで指せている自信はない。凄すぎます」とうなるのだった。

 郷田将棋を象徴するフレーズとして「矢倉」「重厚さ」を挙げる。「一刀流」「剛直流」とも表現される本格派の棋風。代表的戦法の矢倉は「AIがない時代に考え、これが正しいはずと積み重ねた。それが出来上がった後からつまみ食いしている僕たちと違い、積み上げた方々」と敬意を示す。居飛車党の藤本。では郷田との初対戦は矢倉?と問うと、「矢倉を教えてもらえると得るものがあると思うが、勝てないと思う。やりたい気持ちはありつつ、勝負に徹するなら…」と言葉を濁す。

 藤本の師匠・井上慶太九段の兄弟子でもある谷川浩司十七世名人は棋士を勝負師、研究者、芸術家に分類した。藤本にどれが当てはまるかと聞くと「研究者ではない。どちらかというと勝負師タイプ」と告白する。

 その証しだろうか。AIを用いての研究について「仮にみんなが使わないなら、喜んで使わない。それが無理なので使うしかない」。7人中、最年少21歳の素顔は、柔らかな眼差しに闘争心を秘めた「スマイル・アサシン(笑顔の殺し屋)」なのかも知れない。

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