【小林幸子 我が道26】アニメを通して、生きるもの全てへの普遍的な愛を伝えられるように歌おうと

[ 2026年8月27日 07:00 ]

ポケモンイベントに中川翔子さんとゲスト出演
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 ワーナー・パイオニアが演歌部門から撤退したため、1996年に日本コロムビアに復帰しました。「越後情話」という素晴らしい演歌作品も歌いましたが、翌97年にテレビ東京系のアニメ「ポケットモンスター」のエンディング曲「ポケットにファンタジー」という作品も歌いました。「ポケモン」が何なのか分からず「ポケットモンキー?」と、とんちんかんなことを言っていた頃です。続けざまにポケモンカードゲームのCMソング「とりかえっこプリーズ」も出しました。

 そうした一連の流れで、大ヒットしたアニメ映画「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」のエンディングテーマ曲「風といっしょに」をピカチュウレコードから出しました。98年の「紅白歌合戦」でも歌った作品です。いつもとは違うクラシックの発声も練習して取り組んだ大変思い入れのある楽曲で、ポケモンファンからは神曲と言われているそうです。後々これが思わぬ救世主となるところが世の中の不思議なところです。

 「ポケモン」を見て育った世代が爆発的に増えていきました。仕事場で初めて会う若いスタッフから「子供の時に“風といっしょに”を歌ってました」と言われたり、香港の知り合いから「ポケモン(の歌)も歌っていますよね」と言われました。イベントで「風と…」を歌うと、見に来ていた親子2世代どころか3世代が一緒に口ずさんでくれます。2019年には「しょこたん」こと中川翔子さんと「風といっしょに」をデュエットして、CDが再発売されました。ここまで広い世代や世界から支持を集めることは、歌手としてこの上なく光栄な話です。

 アニメのイメージが付いたのか、00年には人気アニメ映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル」のエンディング曲「さよならありがとう」も「こばやしさちこ」名義で歌わせてもらいました。翌01年にも同じ「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」のエンディング曲「元気でいてね」を立て続けに発売。最近も「小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜」というアニメ映画のエンディング曲「僕たちの日々」を歌いました。これらのアニメ作品に共通して根底に流れているのは「愛」です。演歌歌手ですから、男女の愛の歌はずっと歌ってきました。しかし、子供や海外の方も感動するアニメを通して、生きるもの全てへの普遍的な愛を伝えられるように歌おうと思いました。

 想定外はまだありました。アニメから派生したCDですから、通常の流行歌を売るCDショップではなく、おもちゃ屋でもCDが販売されました。むしろ、おもちゃ屋の方が多くCDが売れたそうです。おかげで、そうした別の販路の存在を知りました。アニメの持っている潜在能力を実感させられたのと同時に、旧来の歌謡界のルートを通じてだけではなく、今や個人的に情報や歌を発信できることを教わりました。

 ◇小林 幸子(こばやし・さちこ) 本名・林幸子。1953年(昭28)12月5日生まれ、新潟市出身の72歳。作曲家・古賀政男に見いだされ、64年「ウソツキ鴎」で10歳の時に歌手デビュー。79年「おもいで酒」が200万枚突破の大ヒット。同年の日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞し、紅白歌合戦に初出場。以後34回出場した。最近はニコニコ動画、SNSなどで若い世代やネットユーザーに「ラスボス」として人気を誇る。

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