サゲにも一工夫あって三木助の「船徳」に酔った!

[ 2026年8月27日 19:00 ]

神田連雀亭で行われた桂三木助の会
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】8月23日の日曜夜。東京・神田連雀亭で落語家の五代目桂三木助(42)が「だくだく」「船徳」の2席を熱演した。「桂三木助の会『連』」と題した勉強会だ。

 まず登場したのは林家咲太朗(29)と吉本興業所属のピン芸人・R殿のユニット。M―1での頂点を目指して研さんを積んでおり、この夜は江戸のテーマパークを題材にした漫才を披露した。

 咲太朗(29)は林家たい平(61)の長男で、2019年3月に父に入門。20年9月に前座となり「さく平」、25年5月に二ツ目に昇進し「咲太朗」と改名している。他流試合ではないが、落語以外のことにチャレンジすることで引き出しを増やせと師匠である父から背中を押されているそうで、それが漫才へのチャレンジにつながった。M―1をかきまわせるか注目だ。

 バトンを受けた三木助は1席目に「だくだく」を持って来た。ある長屋に八五郎が引っ越してくる。隣の様子が筒抜けになるくらい壁が薄い。家財道具が何もないため、隣に住む画家先生に家具や日用品、金庫まで描いてもらう。ある夜、そこに視力が悪い泥棒が入ってきて繰り広げられるドタバタを描いた噺。身ぶり手ぶり、ジェスチャーが笑いを誘い、熱演が光った。

 中入り後に披露したのは「船徳」だ。ご存じ、昭和の名人と言われた八代目桂文楽が十八番とした演目で、「四万六千日(しまんろくせんにち)、お暑いさかりでございます」のフレーズでも有名な一席。「四万六千日」とは、浅草寺の観音様の縁日にお参りすると4万6000日分ご利益があるといわれ、一般的には7月9、10日を指す。三木助は「一升枡に入る米の数が4万6000粒。暇な人間が数えたそうで…」と笑わせながら、夏の噺を熱演した。

 親元を勘当され、船宿の居候となっている質屋の若だんな徳兵衛がにわか船頭となって起こす騒動をおもしろおかしく活写した。「だくだく」は隣との壁の薄さ、そして「船徳」は徳兵衛が質屋の若だんなであることが伏線となって、サゲに工夫を凝らしていた。

 独自色を出す。試行錯誤を重ねていくうちに「型」になり、やがて祖父の三代目が「芝浜の三木助」「三木助の芝浜」と言われたように、五代目の十八番も生まれてくるに違いない。

 さて三木助。8月3日には新宿の紀伊国屋ホールで開かれた第731回紀伊国屋寄席に出演し、「三枚起請」で魅了した。3人の男を手玉に取る遊女の話だ。だまされる男たちの悲哀を描写。「起請文にウソを書くと熊野のカラスが3羽死ぬ」という言い伝えを伏線に、これまた工夫を凝らしたサゲにつなげて遊女のしたたかさとうぬぼれ男たちの“しょうもなさ”を浮き立たせて見事だった。

 柳家小さん師の命日に当たる5月16日に新宿末広亭の深夜寄席で「死神の会」を開催した三木助。立川談春(60)のゲスト出演も話題に拍車をかけて盛況を呼んだが、立川談志師の命日に当たる11月21日には2回目を開催予定という。精力的な活動から目が離せない。

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