本文へ移動

【実録 竜戦士たちの10・8】(110)微妙な判定もあり札幌3連戦は一歩後退…巨人の背中がかすむ9・5ゲーム差に

2025年7月10日 10時12分

このエントリーをはてなブックマークに追加

高木監督の抗議を報じる1994年7月14日付中日スポーツ


◇長期連載【第4章 決戦までの100日間】
 1994年7月13日。札幌での巨人との直接対決第1ラウンドを制した中日の第2戦先発は今中慎二。この年も巨人戦は3勝1敗と好相性の左腕で連勝を狙ったものの、そんな中日の前に立ちはだかったのが桑田真澄だった。
 まずは2回裏2死一、三塁で、自ら左前に先制適時打。もともと打撃の良い桑田だが、2打数2安打。得点につながる犠打もしっかり決め、今中攻略への道をつくった。
 本業の投手としても初回に148キロを計測するなど立ち上がりからエンジン全開。9回1死からジェームズを併殺に打ち取り、チームの連敗を5で止めると何度もガッツポーズを繰り返し、喜びを爆発させた。
 「最後(ガッツポーズ)は派手過ぎましたね。酔い過ぎました」と照れ笑いを浮かべた桑田だが、長嶋茂雄監督は「きょうは桑田ですね。点差以上に安心できましたよ」と、1週間ぶりの笑みがこぼれた。
 逆にぶぜんとした表情で、無言のまま球場を後にしたのは中日の高木守道監督だった。怒りの矛先は今中でも打線でもない。目をつり上げ、高木がベンチを飛び出したのは彦野利勝の適時打で1点差と詰め寄った8回だ。
 彦野の代走、清水雅治が打者・立浪和義の4球目にスタート。微妙なタイミングとなったが、二塁塁審・渡田均の判定はアウト。高木、ヘッドコーチの徳武定祐、一塁ベースコーチの谷木恭平が駆けつけての猛抗議も判定が覆るはずはない。
 「絶対にセーフです」と清水が言えば、高木に代わって報道陣に対応した徳武も「足が完全に入っている。あんな判定されたら野球にならん」と吐き捨てた。
 今中を立てながら1点差で連勝を逃した中日は、14日の第3戦も打線が沈黙。ジェームズ、石毛博史の前に0を並べ、1失点で完投した郭源治を救えなかった。
 「これだけ打てなければ、どうしようもないよ」と高木。ここ4試合、計ったように5安打ずつの打線の中でも深刻なのが立浪の不振だ。5試合無安打。この日も7回の2死満塁で二ゴロ。郭が篠塚和典に、この試合両チームで唯一の得点となる決勝打を浴びたのは、その直後だった。
 「絶対に打ってやる、と思ったんですが…。僕が打たないと勝てないんです」と敗戦の責任を背負い込んだ立浪。首位接近をもくろんだ札幌3連戦だったが、終わってみれば一歩後退。3位に転落し、巨人との差もいよいよ背中がかすむ9・5ゲームと広がった。 =敬称略

関連キーワード

おすすめ情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ 電子版