本文へ移動

「『従業員足りないです』って。そんなに必要ですか」移民政策反対を訴え、40代会社員が市長選に挑んだ

2026年6月2日 14時46分 (7月14日 11時01分更新)

【連載】ホーミー
 海外ルーツの住民が多く暮らす地域社会に迫る連載「ホーミー」は、愛知県内の集合住宅を舞台として4月に掲載した1~10回で、課題に直面し、ぶつかり合い、解決へ奔走する住民らの日常を描いた。第2部の11回からは、社会に広がりつつある「日本人第一」の空気と、その中で苦悩する人々の姿を取り上げる。 (この連載は西尾通信局・西山輝一、国際部・藤川大樹が担当します)
 
(11)「『従業員足りないです』って。そんなに必要ですか」移民政策反対を訴え、40代会社員が市長選に挑んだ(この記事)
(12) 違う文化を豊かさとして生かせるか、増え始めた外国人住民に「どう接すれば」戸惑いの声も
(13)「我が家は安全です」旗を掲げて防災訓練する一方、町内会加入を断られるケースも 「困りゃせんかな…」
(14)言葉の壁、町内会入会拒否…悩みの中で願う「みんなで一緒に、楽しい街を」
(15) 増え続ける外国人コミュニティー、社会が「変わる」ことへの危機感
(16)「追い出されたらどうしよう…」ブラジル人コミュニティーに募る不安、「JAPONESES PRIMEIRO」の文字
(17)「ブラジル人出てこい!」、右翼と暴走族が周回 日本人とブラジル人、団地内対立の果てに
(18)全国屈指の多国籍団地「保見団地」 高度経済成長期にトヨタの発展で開発
(19)名鉄パレとフォックスタウンが象徴する異なる二つの「世界」 保見団地で起きた衝突
(20)日本人少年による集団暴行、命を落とした日系ブラジル人少年 向き合った先生
(21)記念碑の設置に抗議電話が21本、匿名の妨害 蔓延する外国人への偏見
(22)「まず同じ席に着くことから始めよう」大学教授の思い 価値観の違いはどこで生まれるか
 
▼第1部・初回の記事はこちら(全文無料公開)
「日本の習慣だもんで覚えてください」 多国籍の愛知県西尾市「県営緑町住宅」手探りの共生

 外国人住民の割合が全国平均を大きく上回る愛知県西尾市で昨年6月、「移民政策に反対」を訴える一人の候補者が市長選に出馬した。自動車部品メーカーで働く安達祐(49)だ。
 「それじゃあ、西尾市長選挙2025、始めますよ!」

西尾市長選でバンド演奏に乗せて主張を展開する安達祐さん=2025年6月、愛知県西尾市の名鉄西尾駅前で

 告示日の8日午前。名鉄西尾駅前の広場に、エレキギターやベース、ドラムの音が鳴り響いた。作務衣(さむえ)に白いたすきを掛けた安達が、医療行政や町づくりへの主張を盛り込んだ自作の曲を歌い上げる。演奏の合間には、「政府が進める移民政策に反対します!」と声を上げた。
 静岡県掛川市生まれ。愛知県豊橋市の小中学校、同県刈谷市の高校を卒業し、西尾市に移った。10代の頃から趣味のバンド活動に打ち込んだという。現職との一騎打ちになった西尾市長選では「自分で考えて選挙に行こう」と書かれたのぼり旗を立て、エレキギターで自作曲を披露するなど一風変わった選挙運動を展開。3選を果たした中村健(47)には大きく及ばなかったものの、得票率は1割を超えた。
 政治に関心を持ったのは、新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけだ。「他人をばい菌扱いする風潮」(安達)が広まり、決まっていたライブも中止になった。インターネットなどで情報を集めるにつれ、政府が進めてきた政策や現状に疑問を持つようになった。町を歩けば目に入る外国人が働くカレー店やコンビニの多さも、そう。
 足元では多くの中小企業が人手不足に苦悩し、飲食店も外国人労働者に頼らざるを得ない現状だ。ただ、安達は「店増やして『従業員足りないです』って。そんなに必要ですか」と問いかけ、こう持論を展開した。
 「僕は(外国人による)武器を使わない乗っ取り戦争が起きていると思ってます。受け入れ人数の上限は必要です」 =文中敬称略

関連キーワード

おすすめ情報

社会の新着

記事一覧