【内田雅也の追球】復調へ「窮地」での姿勢 2ストライクから食らいつき、ミートに徹し道を開いた

[ 2023年4月20日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神6―1広島 ( 2023年4月19日    甲子園 )

<神・広>6回、佐藤輝は適時打を放つ(撮影・北條 貴史)
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 打者が2ストライクと追い込まれた状態を「バッター、イン・ザ・ホール」という。ホールは穴だが、この場合は「窮地」を意味する。どんな打者でも対応に苦しむ。

 この夜、阪神が広島・遠藤淳志を攻略したのは2ストライク後の打撃姿勢が生きたからだ。前回対戦(6日・マツダ)で6回無得点、降雨コールドで完封されていた。今回も4回まで無安打無得点と嫌なムードだった。

 0―0の5回裏、佐藤輝明に幸運な二塁打が出て無死二塁。今季初出場の井上広大は持ち前の豪快なスイングで内角速球を引っ張り、三塁線にファウルし、2ストライクと追い込まれた。

 この時、井上の頭に右方向への進塁打が浮かんだのではないか。だから1ボール―2ストライクから遠藤得意のチェンジアップに食らいつき、右前打にできたのだ。無死一、三塁となって、続く坂本誠志郎の右犠飛で先取点をもぎ取れた。

 6回裏の追加点も同じである。近本光司の三塁打は1―2からのチェンジアップ。シェルドン・ノイジーの適時二塁打も0―2からの低めチェンジアップ。遠藤を降板に追いやり、島内颯太郎から放った佐藤輝の適時打も0―2からの外角速球を軽打したものだった。

 打率・191の佐藤輝だが、2ストライク後は25打数7安打、・280ある。何かヒントが隠れてはいないか。

 いずれも追い込まれてからの姿勢が結果につながった。食らいつき、ミートに徹する。そんな窮地に立ったときの対応が道を切り開いたのだ。打線復調へのきっかけにならないだろうか。

 試合前、久しぶりに馬場哲也に会った。投手で入団し、長く球団本部のフロントマンを務める。

 現場とは無関係だが、雑談で今のチームをどうみてるのか聞くと「雨ですよ」と言った。「広島で雨に降られて試合が流れたでしょ。あれから打てなくなりました。調子が狂ったのでしょうか」

 確かに今月5日に広島戦(マツダ)が雨天中止となって以降、試合ごとの得点は0、1、1、1、1、2、4、3、1、2と10試合で16点。平均2点に満たない「1点打線」と沈んでいた。

 6点も奪ったのは今月2日以来、12試合ぶりだった。打撃は水物で好不調の波がある。やまない雨はない。この日の甲子園のように、いつか雨はあがる。=敬称略=(編集委員)

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