「ばけばけ」トキ&ヘブン結婚“神回”15分ワンシーン裏側 8人熱演「撮れ高25分」演出カメラ止まらず

[ 2026年1月9日 08:15 ]

連続テレビ小説「ばけばけ」第70話。錦織友一(吉沢亮・前列左端)も加わり、松野家&雨清水家の面々は「だらくそがー!」――(C)NHK
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 女優の髙石あかり(23)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「ばけばけ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は9日、第70回が放送され、主人公・松野トキと英語教師レフカダ・ヘブンの結婚が認められ、第14週のサブタイトル「カゾク、ナル、イイデスカ?」の通り、松野家・雨清水家と“家族になる”様子が描かれた。インターネット上には「神回」の声が相次ぎ、反響を呼んだ。制作統括の橋爪國臣チーフ・プロデューサー(CP)とチーフ演出の村橋直樹監督に裏側を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 「バイプレイヤーズ」シリーズやNHK「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」など会話劇に定評のある、ふじきみつ彦氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算113作目。松江の没落士族の娘・小泉セツと、その夫で日本の怪談を世界に紹介した明治時代の作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)をモデルに、怪談を愛してやまない夫婦の何気ない日常を描く。

 第70回は、松野トキ(髙石あかり)との結婚披露パーティー。レフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)は突然、「カゾク、ナル、デキナイ」と言い始め…という展開。

 松野勘右衛門(小日向文世)は“大船に乗ったつもりで”と言ったが、ヘブンはウソが嫌いだった。松野家に借金があること、雨清水三之丞(板垣李光人)が社長でないことを指摘。トキをウソつきと呼んだ。トキも正直に告白。ウソをついたのは、お金のために結婚したと思われなくなかったからだ。

 三之丞は雨清水タエ(北川景子)に「私は社長ではありません。おトキから毎月お金をもらって、稼いでいるフリをしていた。ウソつきで、恥さらしで、ダメな息子です。申し訳ございません!」と土下座。タエは「知っていましたよ。あなたはわたくしの期待に応えようと、歯を食いしばって、仕方なく。だから言えなかった。もう十分」と許した。

 松野フミ(池脇千鶴)はタエが親戚ではなく、トキの“もう一人の母”だと紹介。幼くして母と別れたヘブンは“ママさん”が2人できたことを喜ぶ。「オフミママサン、オタエママサン」。トキは「ダメ!ズルいです。私だって、ずっと言いたかった…(タエを)母上って…」「ママサン…」と泣きじゃくった。

 松野司之介(岡部たかし)「(三之丞に)こげな時は、叫ぶのが一番です。だらくそが!と」

 タエや錦織友一(吉沢亮)ら全員が縁側へ。空に向かって「だらくそがー!」――。

 蛇と蛙(阿佐ヶ谷姉妹)「祝いの席には決して相応しくない言葉を叫び、皆一つになりました」「おトキちゃんの家族らしいわ」

 三之丞が所狭しと司之介を追い掛ける。

 15分丸々、ワンシチュエーション(ヘブン邸)で複雑な人間模様を描き上げたヤマ場回。

 8人(トキ・ヘブン・司之介・フミ・勘右衛門・タエ・三之丞・錦織)が一堂に会したため、できれば8台のカメラで個々の表情を同時に収めつつ、シーンの最初から最後まで通して撮る、舞台中継のような方法が理想だが、村橋監督は「今回、流石にそれは難しかったので、4つか5つのブロックに分けて撮りました。演技というのは相手のお芝居を受けてするものなので、役者さんにすると、それがなくなるシーンの区切り方はやりにくいもの。この一連の流れをどういうふうに分けて撮るのがいいのか。そこが一番の悩みどころでした」と述懐。

 「本当はカメラを止めて次のブロックに移るところで、北川さんの表情があまりに素晴らしくて。“あ、このお芝居は一回限りだな”と直感して、カメラが止めるに止められなかったんです。スタッフたちも“監督、カットしないの?”と私を見ているのですが、『これは止めてはダメだ!止めない!』と叫びながらの撮影になりました」と明かした。

 橋爪CPも「ここまで積み重ねてきた松野家、雨清水家の家族の物語に、いったん“マル(読点)”が付く本当に大切なシーン。感動のあまり、泣いているスタッフもいました。14週かけた末の、キャストの皆さんの感情が高まった表情ですから、あの顔もこの顔も使いたいと、編集は大変だったと思います」と語ると、村橋監督は「この一連のシーンだけで、撮れ高は25分ありました」と苦笑した。

 8人それぞれに魅了されたが、特に村橋監督の目を引いたのは三之丞。トキが声を上げてなくと、タエの後ろで涙した。

 「序盤からずっと煮え切らない思いを抱えている人物として、板垣さんのパーソナルな部分も借りながら一緒に造形してきましたが、ようやくウソを吐き出すことができて、ある種の安堵感もあったと思います。自分のことで精いっぱいだった男が謝ることで初めて、トキとタエの関係、2人と自分との関係を客観視できた。“姉が母のことを母と呼べてよかった”。そう思い至れた三之丞に、彼なりの成長を感じました。あそこで三之丞が泣く描写は台本にはないどころか、タエへの告白が終わってからは台本の中で三之丞に触れた部分もほとんどありません。それでも、ここまで板垣さんが三之丞という役を生き、創り上げてきたからこそ、素直に涙になって表れたんだと思います」

 12日から第15週「マツノケ、ヤリカタ。」に入る。

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