「ここで終わるくらいの勢いで立つ」——Palette Parade 山﨑悠楓 逃げていた夜を越え…LINE CUBE SHIBUYAを“証明”の場所へ

[ 2026年7月27日 20:30 ]

【画像・写真3枚目】「360度の生き様」へ――Palette Parade 山﨑悠楓 まばたき一つに宿すアイドルの覚悟
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 「証明」という言葉を置いた時、山﨑悠楓の声は少しだけ輪郭を強めた。21日にニューシングル「夏がほどく夜」をリリースしたアイドルグループ「Palette Parade」。ソロインタビュー3部作の最終回となる第3部では、5周年公演の舞台となるLINE CUBE SHIBUYAへ向かう現在地、そしてアイドルとして生きる覚悟に迫る。(「推し面」取材班)

 「LINE CUBE SHIBUYA」のステージに立つこと。それは「挑戦」か「証明」か。問いを投げると、答えはまっすぐ返ってきた。

 「『証明』の場所なのかなと思っています」

 飾りのない一言だった。けれど、その短さがかえって重かった。いい意味で試されている。ここで立ち止まって終わらせたくない。積み上げてきたパフォーマンスや表現力が本物であることを、答えとして出さなければいけない。そう言葉を重ねるうち、見つめる先には客席の形が浮かんでいるようだった。

 その場所はホールだ。座席がある。立ち見の熱で空間をごまかすことはできない。埋まっているか、空いているかが、目に見えてしまう。

 「LINE CUBE SHIBUYAはホールなので、座って見るという部分でお客さんが入ってるか入ってないかがわかってしまう」

 満員の景色を見たい、という言葉はよくある夢の響きにも聞こえる。だが、その口から出る言葉は少し違う。空席が見えてしまう怖さまで知ったうえで、それでもそこに立つと言っている。舞台袖で幕が上がるのを待つ時間、照明が客席を薄く照らす瞬間、目に入る座席の列。その一つひとつが、逃げ道のない現実になる。

 「LINE CUBE SHIBUYAを埋められなかったら、私たちはもう本当にこのアイドル人生をどう消化したらいいかわかんなくなってしまう」

 言葉は強い。けれど、声を荒らすわけではない。そこには、華やかな周年公演という響きの裏側で、静かに腹を決めている人の呼吸があった。

 「ここで終わらせたくないけど、ここで終わるんだっていうくらいの勢いで立ちたい」

 終わらせたくない。だが、軽い通過点にもしたくない。次へ進むために、終わる覚悟の熱量で立つ。5周年は祝祭であり、同時に答え合わせでもある。

 今は、5周年ワンマンライブに向けて「ワクワクしかない」と言う。プレッシャーを否定しているわけではない。むしろ、重さを知っているからこそ、その上に楽しさを置けるようになった。

 「以前はアイドルという職業から逃げていた部分というか、自分なんて…っていうネガティブな気持ちで向き合ってしまう時間もあった」

 「自分なんて」。その小さな言葉の中に、いくつもの夜がある。アイドルのために使えなかった時間。心を落ち着かせるために、楽しい娯楽や別の何かへ流れていった時間。ステージに向かうはずの体が、うまく前を向けなかった日々。ファンには見えない場所で、時計の針だけが進んだ夜もあったはずだ。

 だが、今は違う。

 「今はアイドルとして生きる時間が長くなり、自分の心をコントロールできるようになりました」

 大きな声で生まれ変わりを宣言するわけではない。少しずつ、生活の中の時間の置き方が変わっていった。自分の心を荒らすものと距離を取り、ステージへ向かう時間を増やしていく。マイクを握る前から、アイドルとしての時間は始まっている。その当たり前に、ようやく体が追いついてきた。

 だからこそ、5周年ワンマンライブを前にした声は明るい。

 「いいパフォーマンスが自分もできるって思うからワクワクしかないです。これからの自分がどう成長していくか、どんなステージを作れるかが楽しみで仕方ないです」

 楽しみで仕方ない、と言う口元に、浮ついた軽さはない。逃げていた時間を知っているから、今ステージへ向かえることの重みが分かる。自分なんて、と伏せていた目線が、客席の奥へ伸びていく。そこにあるのは、ただの前向きさではない。取り戻してきた時間の明るさだ。

 4周年ワンマンライブからの1年、課題にしてきたのは全体的なパフォーマンス力の底上げだった。自分を見つけてもらえなかったとしても、グループを見つけてくれた人を一番幸せにしたい。そう話す言葉には、個人の悔しさを越えた広がりがある。

 「Palette Paradeを見つけてくれてありがとうという気持ちが強いので」

 たとえ自分のファンが少なかった日でも、その日に来てくれた人へ笑顔を届ける。前に進む何かのきっかけになれたらいい。だから基礎となるパフォーマンスを磨く。5周年の舞台に向けた覚悟は、急に生まれたものではない。1本ずつのライブで、目の前の人に向かって積んできたものだ。

 そして、最後に見たい光景ははっきりしている。

 「絶対にもう、満員の景色が見たいです」

 満員という言葉の中には、単なる数字以上の願いがある。ファンとメンバーが同じ熱量を持ち、「完売したよね」と同じ気持ちで向き合う景色。客席とステージが別々に喜ぶのではなく、一つの空間として震える時間。

 「共鳴していきたいですね」

 その言葉で、インタビューの最後の温度が決まった。叫びではなく、祈りでもない。ステージから放った熱が客席へ届き、客席の熱がまたステージへ返ってくる。そんな往復の中でしか生まれない景色を、マイクを握る手は求めている。

 空席が見えてしまう場所だからこそ、満員の景色は嘘をつかない。逃げていた時間を越え、アイドルとして生きる時間を取り戻した背中は、5周年の舞台へ向かう。LINE CUBE SHIBUYAで出す答えは、山﨑悠楓ひとりのものではない。Palette Paradeを見つけたすべての人と鳴らす、証明の音である。

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