「360度の生き様」へ――Palette Parade 山﨑悠楓 まばたき一つに宿すアイドルの覚悟

[ 2026年7月27日 07:30 ]

【画像・写真1枚目】「360度の生き様」へ――Palette Parade 山﨑悠楓 まばたき一つに宿すアイドルの覚悟
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 7人組アイドルグループ「Palette Parade」が21日にニューシングル「夏がほどく夜」をリリース。これを記念し、山﨑悠楓が都内でソロインタビューに応じた。3部作で届ける連載の第1部では、夏らしくポップでありながら胸の奥をそっと揺らす楽曲の魅力、そして、ステージで磨いてきた山﨑の表現力に迫る。(「推し面」取材班)

 ニューシングルのタイトルは「夏がほどく夜」だった。きらきらした夏だけではなく、胸の奥に残る迷いや、眠れない夜まで包み込むようなタイトル。山﨑は曲名そのものに強くこだわるより、その先にいるファンの顔を思い浮かべていた。

 「タイトルよりも、曲の内容を届けることを重視しているところがあるので」

 その声は、すぐに客席の方角へ向かった。

 「正解がない世界だからこそ、ファンの方が受け取った時にどう思うだろう、とはずっと考えていました」

 正解がないからこそ、丁寧に届ける。ポップな曲調の中にある切なさを、どんな声で、どんな表情で、どんな温度で手渡すか。そこに、ステージに立つ人としての現在地がある。

 最初に歌の入っていないインストゥルメンタル音源を聴いた時、耳に飛び込んできたのは、パレパレの新しい夏だった。

 「めっちゃいい音だな、と」

 移動中の車内に音源が届いた。まだ歌詞の乗っていないメロディーに、メンバーたちは耳を澄ませた。

 「うわ、めっちゃいいじゃん!」「ここのパート好き!」

 そんな声が弾む。データだった曲が、少しずつ自分たちのものになっていく。ライブの光、ペンライトの揺れ、夕暮れの空気まで、音の中に見えてくるようだった。

 夏らしく明るい。けれど、ただまぶしいだけでは終わらない。

 「夕暮れ時にみんなで歌いたくなる曲でもあり、一歩踏み出す時に背中を押してくれるような前向きな気持ちも届けられる曲だなと思いました」

 明るい音の奥に、迷いながら居場所を見つけていく夜の気配が残る。パレパレらしいエモーショナルな手触りがある。だからこそ、楽観だけでは進めなかった。

 「歌詞がちゃんとみんなのところに届くかなという不安もありました。でも、やっぱり音の力自体が最初から良かったので、そこは間違いないって」

 その「間違いない」へたどり着くまでには、たくさんの寄り道があった。加入当初の歌は、勢いとパワーでぶつけるものだったという。

 「昔は『若い声』というか特徴的な声で、勢いとその時に持っているパワーだけでぶつけるような歌い方をしていました」

 熱はあった。まっすぐな声もあった。だが、熱だけでは届かない場所がある。

 ダンスも同じだった。過去の映像の話になると、山﨑はスマートフォンを手に取った。保存していた初期のライブ動画を探しながら、少し楽しそうに口元をゆるめる。やがて、記者の方へ画面を向けた。そこには、1年目の夏を走っていた姿が映っていた。

 「もうやばくて(笑い)。1年目の夏はパワフルさはあるかもしれないけど、キレの良さとかは全くなくて」

 腕は曲がり、動きはどこかプラプラしている。完成されたパフォーマンスとはまだ遠い。それでも、画面をのぞき込む表情は暗くない。いたずらを見つけた子供のように、少し誇らしげで、少し照れくさそうでもあった。

 笑いながら振り返れるのは、そこから目をそらさずに進んできたからだ。

 今は違う。腕の角度、指先の残し方、視線の流し方。かわいく笑うだけではなく、歌詞の中の人物としてステージに立つ。音が鳴った瞬間、その体は曲の中へ入っていく。

 「ちゃんとステージの中で生きて、どうファンの方に伝えたいかを考えながら歌えるようになりました」

「最近自分は全然できていないな、と感じたんです」

 胸の奥に落ちたその感覚を、なかったことにはしなかった。

 「自分はできると思っていたけど、実際に努力してやらないとできないんだ、と気づかされた感じです」

 ノートに書き殴った。どうすれば存在感を出せるのか。どうすればパレパレの中心で強く光るメンバーたちに追いつけるのか。焦りも、負けたくない気持ちも、ページの上に残った。

 今は、歌詞を受け取ると、どう歌うかを自分で考える。

 「レパートリーをいくつか作ってレコーディングに臨むようになりました」

 頭の中でまとまらないものは、歌詞カードへ書き込む。ボイトレの先生に頼るだけではなく、歌割りの意味を自分の中で組み立てる。

 「自分で考えて歌割りの表現を作っています」

 その細やかさは、まばたき一つにまで及ぶ。アイドルになる前、山﨑には舞台に立って芝居をしていた経験がある。だからこそ、視線の動きや目を閉じる一瞬が、客席にどう届くかを知っている。

 タイミング、回数、長さ。ほんの一瞬、目を閉じるだけで、客席の目線がふっと外れていくことがある。

 「タイミング次第で、一瞬で目線が外れてしまうので、必要な時以外はしないようにコントロールしていますね」

 かわいく見せるためだけではない。歌詞の世界から、ファンを離さないためである。瞳を閉じる一瞬さえ、表現の一部になる。

 ファンが上げたライブ動画も見返す。

 「ここの歌い方ダメだったな、と思ったら、家ですぐにその場で練習します」

 歌割りがない時間も、背中で語る。360度、どこから見られてもステージの中で生きている人であろうとする。

 「歌割り以外の時でも、背中で語るような、360度どこから見られてもいい意識を持っていようと」

 「夏がほどく夜」は、そんな今によく似ている。車内で弾んだ声、歌割りが減った夜に向かったノート、まばたき一つまで磨いてきたステージ。そのすべてが、山﨑悠楓の歌の奥で静かに鳴っている。

 夏の夜をほどくのは、派手な魔法ではない。積み重ねた声と背中が、迷いを少しずつ光へ変えていく。21日に届いた「夏がほどく夜」は、誰かの明日をそっと軽くする一曲である。

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