【小林幸子 我が道30】おごらず、腐らず、一生懸命に たぶん死ぬまで歌っていることでしょう

[ 2026年8月31日 07:00 ]

令和・歌の祭典2025で熱唱する小林幸子
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 歌い手であるがため、この60年余りの間に本当にいろいろな経験をさせてもらいました。せっかくここまで生かされてきたのですから、残りの人生はめっけもんだと思い、人の役に立ちたいと本気で思っています。少し偉そうな言い方ですが「恩返し」をしたいです。少しでも、これからの日本を支える子供たちのためになりたいと願っています。新潟出身ということもあり、特にお米を絶やさないよう、お米作りにこだわりたいのです。

 実は昨年12月にNPO法人「幸せプロジェクト」を立ち上げました。今やっていることの一つとして、東京農業大学とセブン―イレブンと3者で「おにぎり探究プログラム」を推進しています。新潟県の中学・高校生と米作りから「おにぎり」を開発し、提案された優秀なものをふるさとの味として来年3月ごろにセブン―イレブンで販売、将来的には全国展開を図ります。そうした収益金を子供たちのために使おうというプロジェクトです。

 私には子供がいません。でも、これから生まれて来る子供たちのために、私たち大人が今できることを何とかしなければいけないと思うのです。食料のことだけではなく、地球温暖化の問題も含めて、今ある課題は全て大人たちの責任です。自分の欲望のことだけを考えて後のことは知らない、みたいな姿勢では良くないでしょう?子供は私たちの大事な宝なのですから…。

 いろいろな方と知り合ううちに、気が付くと全国数カ所の「こども食堂」に関わることになっていました。こういう話をすると「売名行為」と批判されることがよくあります。最初は腹が立ちましたが、今は何を言われても結構です。そういう注目のされ方でも「こども食堂」の存在を知ってもらえる機会になるのであれば、全くOKです。広告塔でも何でも良いから、私の名前をどんどん使ってください。そう思うようになりました。本当に自分でも強くなったなと思います。

 改めてこうして振り返ると、本当に「人間(じんかん)万事塞翁(さいおう)が馬」だなと思います。誰も将来のことなど分かりません。そして、良いことばかりは続かないし、かと言って悪いことも永遠には続きません。その時は最悪だと思いながらも頑張っていると、それが結果的にプラスになっていたこともありました。そんなことの繰り返しだった気がします。だから、おごらず、腐らず、一生懸命に生きていれば、きっと何とかなる気がします。

 歌好きの私は、たぶん死ぬまで歌っていることでしょう。もし次は外国人に生まれ変わるとしても、その地域の歌を歌っているだろうと思うほどです。世の中には、まだまだ知らない良い歌があるのでしょう。ずっと素敵な歌と巡り合えるように努めます。やっぱり「歌ったご褒美で5円玉」をもらっていた時から、歌を褒められるのが大好きですから…。1カ月お付き合いいただき、ありがとうございました。 =終わり=(構成・元尾 哲也)

 ◇小林 幸子(こばやし・さちこ) 本名・林幸子。1953年(昭28)12月5日生まれ、新潟市出身の72歳。作曲家・古賀政男に見いだされ、64年「ウソツキ鴎」で10歳の時に歌手デビュー。79年「おもいで酒」が200万枚突破の大ヒット。同年の日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞し、紅白歌合戦に初出場。以後34回出場した。最近はニコニコ動画、SNSなどで若い世代やネットユーザーに「ラスボス」として人気を誇る。

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