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漫画家ちばてつやさん訃報から一夜 ジョーの聖地・泪橋もありがとう 住民「下町の温かさを失いたくない」

[ 2026年10月29日 05:30 ]

「あしたのジョー」の聖地として知られる泪橋交差点
Photo By スポニチ

 漫画家ちばてつやさん(享年87)の訃報から一夜明けた28日、代表作「あしたのジョー」の舞台で、東京都台東区の「泪橋」周辺の住民らから惜別と感謝の声が上がった。「ちばさんが描いた街の温かさを残していきたい」と声をそろえた。

 主人公・矢吹丈が所属する丹下拳闘クラブは川のほとり「泪橋」のたもとにあるが実際の「泪橋」は交差点。近くの「いろは会商店街」入り口付近にはジョーの像が立つ。この日午前までに像の足元には花が手向けられ、缶コーヒーが供えられた。「ちばてつや先生 心よりお悔やみ申し上げます ありがとうございました 地元民より」としたためた手紙も置かれた。

 ちばさんはこの街を、しばしば訪れていたという。飲食店を営む男性(77)は「ふらっと遊びに来ては子供たちにお店の焼き鳥を振る舞うなど凄く優しい方だった」と振り返る。絵を描いてくれることもあったという。

 一帯は山谷地区と呼ばれ、日雇い労働者向けの簡易宿泊施設が集まる地区。作中では、身寄りのないジョーの試合を家族のように見守り、勝っても負けても温かく迎えてくれる住人たちの温かい姿が描かれた。

 連載終了から半世紀以上が過ぎ、街は様変わり。「カラーテレビ付 一泊2200円」など格安料金の看板は今もあるが、日雇い労働者向けだった安宿の多くが、インバウンド向けのホテルに。街は外国人であふれている。商店街のアーケードも18年に撤去され、マンションが立ち並ぶ。

 「実写映画(2011年版)の公開時には町おこしでにぎわったんだけどね…」と活気が消えていくのを寂しがる住民も。それでも商店街で店を営んでいた60代男性は「作品でちば先生が丁寧に描いてくれた下町の温かさを失いたくない。人と人のつながりを大切にしたい」と“ジョーの時代”を懐かしんだ。「ジョーの像が残っているし、ちば先生のことを誰もが忘れないように何かできたら」と作品がこれからも愛されていくことを祈った。 (高原 俊太)

 《ジョーが乱闘も》ジョーとトレーナーの丹下段平が出会った「玉姫公園」は、泪橋から南東に5分ほど歩いた先にある。1930年(昭5)に関東大震災からの復興小公園として開設。劇中ではジョーが暴力団と乱闘したこともあった。遊具もあるが、子供たちの姿はなく、ホームレスの住居らしきものが複数見られた。

 《名誉区民練馬区庁舎に献花台》東京都練馬区は28日、ちばてつやさんを悼み、本庁舎1階アトリウムに献花台を設置した。ちばさんは長年練馬区在住で名誉区民だった。この日は多くの区民やファンが訪れ、花を手向け、手を合わせた。吉田健一区長は「商店街や地域の子供たちを気にかけてくださっていたと聞いています。区として、先生の作品を受け継ぎ、残していきたい」と話した。献花台は来月4日まで設置される。

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