京都大発のアトミスが挑んだMOFの量産 「誰もやらないこと」の先につかんだ成功
2025年12月2日 05時10分 (12月4日 10時30分更新)
連載「ノーベル賞とスタートアップ 成果を社会に」
人類に多大な貢献をした個人や団体に贈られるノーベル賞。画期的な研究成果を社会で生かすため、スタートアップ(新興企業)の役割が重みを増している。今年の受賞が決まった大阪大特別栄誉教授の坂口志文さん(74)=生理学・医学賞=と、京都大特別教授の北川進さん(74)=化学賞=も関わりが深い。スウェーデンで10日夕(日本時間11日未明)に開かれる授賞式を前に、スタートアップや社会への応用を考える。
(上)「日本のスピード感でいたら乗り遅れる」ノーベル賞を社会の役に…坂口志文さんはスタートアップで飛躍を期す
(中)京都大発のアトミスが挑んだMOFの量産 「誰もやらないこと」の先につかんだ成功(この記事)
(下)時間もお金もかかる再生医療、困難を乗り越えるには 継続的な支援が急務
(番外編)日本にまだ少ないスタートアップ 機能するために何が必要か、名古屋大学の天野浩教授に聞く
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1辺30センチ前後、重さ約9キロの立方体に近い箱。京都大発のスタートアップ(新興企業)「アトミス」の次世代高圧ガス容器「CubiTan(キュビタン)」だ。その中身は、今年のノーベル化学賞に決まった京大特別教授、北川進さん(74)が開発した金属有機構造体(MOF(モフ))で満たされている。従来のガスボンベと比べて大きさ、重さとも5分の1ほどながら、同じ量のガスを圧縮して吸着、貯蔵することができる。
後にアトミスを創業することになる樋口雅一さん(50)は2014年、大手空調メーカーの依頼に困惑した。「MOFを3キロ欲しい」。当時、北川研究室の特定助教。「3キロなんて、作る気にもならないほど多い量だった」。北川さんも量産化が課題だったと振り返る。「基礎研究では1グラムも作らない。使ってもらって初めて性能が分かる素材なので(産業界への)伝わり方はとても遅かった」...
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