「諦めることを諦めろ」──Sadie真緒 反骨心の原点と手放さなかった言葉

[ 2026年3月17日 20:30 ]

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 5人組ロックバンド「Sadie」のボーカル・真緒がスポニチアネックスの単独インタビューに応じ、音楽の原風景について語った。ギター少年としての出発。そして、ボーカリストとしての覚醒。反骨心から始まった結成の裏側。さらに、人生の分岐点で自らを奮い立たせてきた言葉に迫った。(ヴィジュアル系特集取材班)

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 高校時代のある日。少年は文化祭のステージに立っていた。左肩にはストラップ、右手には使い慣れたピック。ギターでロックをかき鳴らし、声援を浴びる。憧れのバンドのように、きっと自分も“それっぽく”見えているはずだった。

 ところが、後から映像を見返して、ふと違和感を覚える。

 「なんか違和感を感じたんですよ。そもそもギターを背負っている自分、似合ってないなって、心のどこかでずっと思っていました」

 真緒の音楽の入口はギターだった。中学の頃、いとこがエレキギターを弾いていた影響で手に取り、当時からX JAPANが大好きだったこともあり「高校生になったらエレキギターをやろう」と決意。実際に高校へ進学すると、ギタリストとして弦を弾く日々が始まった。

 XやLUNA SEAといったヴィジュアル系も好んで聴いていた。だが演奏するのは、青春系のロックバンドや洋楽ロックが中心だった。そんなある日、文化祭で“事件”が起きる。ボーカルに欠員が出て、急きょ代役が必要になったのだ。

 「歌ってくれないかって言われたんです。その曲、歌えるやろ、みたいな感じで。たまたま知ってた曲だったんで、じゃあ分かりましたって歌ったんですよね」

 その瞬間、スイッチが入った。

 「歌った時、すごく気持ちよかった」

 ちょうど壁にぶつかっていた時期でもあった。ギターを弾く自分の映像を見返しては「似合わない」と感じていた。さらに当時、相方のギタリストが「ものすごく上手いやつ」だった。

 「どう練習してもこの差を埋められないし、見た人の感情もなんか違うなっていうのがあって」

 そんな時、代役ボーカルのステージで観客の盛り上がりを真正面から浴びた。それを「味をしめた」と表現する。言い方は軽い。だが、その軽さこそが、ボーカリストとしての胎動だった。

 「基本的にステージの中で物事を左右させるようなボーカルって、1番難しいと思いますし、1番大変だというのも分かってはいましたけど、そこからボーカルに変わっていきました」

 似合わなかったギターのストラップは、マイクに持ち替えた瞬間に消えた。心と体が、正直に反応したのだ。

 ただ、プロへの道は一直線ではない。Sadie結成前、実は“決まっていたバンド”があったという。先輩のバンドだった。ところが合流前に話が頓挫。バンドマンとしての道が途絶えかけ、心に浅くない傷を負った。その一方で、ある感情が芽生える。

 「悔しかった。『必ずこのバンドを倒す』っていう野心が生まれたんです」

 ここがSadieの起点だ。むき出しの反骨心。倒す相手がいるから、エネルギーは形になる。

 「もう一度1からバンドを作ろうと思って。そして、必ず先輩のバンドと対バンしてやるって。どういう意欲で勝つのかわかんないですけど、そこまで登り詰めてやるっていう野心ができたんです」

 真緒はその“事情”を隠さず、仲間を集めた。

 「メンバーに誘う時もそのことを全部説明してるんですよ。僕はこういうことがあって、こういう思いを乗せられるような、エモーショナルで攻撃的なサウンドでバンドを作りたいって。そんな野心の塊で作って、その野心をみんなが引き継ぎつつ、各々の目標、各々のしたいことが1つの塊になったのがSadieじゃないかと思います。きっかけは僕の勝手なきっかけなんですけど」

 2005年に結成したSadie。ライブを重ねるにつれて集客は増え、成功への階段を駆け上がっている実感が芽生えた。気づけば先輩のバンドは解散していた。

 「Sadieが登り詰めてきたっていう感覚は、相手の方にも伝わったと自分の中では思ってます」

 そんな反骨のボーカリストの芯に通る言葉がある。「諦めることを諦めろ」だ。

 自身にとって「諦める」は最後の言葉だという。「しんどい時、辛い時、人生の起点になった時…。こうやって自分に問いかけてきたんです。『諦めることを諦めろ』って」

 2015年の活動休止から8年の時を経て、バンドは2023年に再始動を宣言。これに先だって、5人が顔をそろえて話し合った時、2文字の言葉で合意した。それが「再開」だった。

 「正直もうダメなのかなって頭によぎっていました。最初は数年経てば、いつか集まれるかもしれないとも思っていたけど、いざそれぞれの活動が動き出した時に、この5人が本当に戻ってこれるのかって。不安はずっとあったんです。でも、5人が集まった時、自分で言葉を紡いで、納得のいく結果を出すまでは、諦めちゃだめだっていう気持ちがあったんです」

 「諦めることを諦めろ」。 その執念の果てにつかみ取った「再開」のステージで、真緒は今日もマイクを握っている。終わらせないために闘い続けるその姿こそが、Sadieが鳴らす最大のロックだ。

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