「綺麗な声より心を」――ピュアリーモンスター白城もえの 「晴れの国」から来た〝嵐を呼ぶアイドル〟の生きた証明

[ 2026年6月9日 07:30 ]

【画像・写真1枚目】「綺麗な声より心を」――ピュアリーモンスター白城もえの 「晴れの国」から来た〝嵐を呼ぶアイドル〟の生きた証明(撮影・菅原もも)
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2年ぶりとなる待望のシングル「しゅがぴゅあ」のリリースを果たした、声優だけのアイドルユニット「ピュアリーモンスター」(ピュアモン)の白城もえの(しらき・もえの)。スポニチ東京本社でのソロインタビューで語ったのは、新曲のパフォーマンスに込めたファンへの愛と、アイドルとしての絶対的なこだわりだった。自身が担当するラストサビ前のソロパートでは、一瞬のフレーズに視線を引きつけるための密やかな魔法をかけ、ひときわ強いアピールでステージに立っている。(「推し面」取材班)

 ゴロゴロ、と重い地鳴りがスポニチ本社ビルを揺らした。

 ​ピカッと窓の外が白く閃いた直後、腹の底に響くような雷鳴がとどろく。インタビューの空気が一瞬、ピンと張り詰める。

 ​「おお!音もすごい。雨女の……すいません。もうゴロゴロゴロゴロと、私のせいですね。完全に」

 ​悪びれる様子もなく、白城はコロコロと笑い声を上げた。聞けば、これまでも大切な節目には決まって雨が降ったという。

 ​「元々岡山県出身で、岡山県って『晴れの国』って言われてるんですけど。持ってこれなかったんですかね、その力をこちら側に。結構秒単位で雨を操ってしまうようなタイプの女なんです」

 ​いたずらっぽく目元を細めて語るその姿は、まさに天候すら味方につける「嵐を呼ぶ声優アイドル」だ。

​ 予定調和の平穏よりも、波乱を面白がるような野生がその瞳の奥には宿っている。

 2年ぶりのシングルとなる「しゅがぴゅあ」。タイトルとデモ音源を耳にした瞬間、直感は確信に変わったという。

 ​「最初にタイトルだけ教えていただいたんです。その時に『これはワクワクの予感!』と思って、その後にデモ音源をいただいた時に『これは来たな』って思いました。ピュアモンって楽しい曲はたくさんあるんですけど、セリフとかがいっぱいある曲って、あるにはあるんですけど、結構久しぶりにと言いますか。私がまだ加入して2年半なので2枚目のシングルだったんですけど、その中でこういう曲が来たのが初めてだったので、『よし、これは来た!』と思ってすごい嬉しかったです。やっぱ声優らしさがいっぱい込められるような曲になってると思うので、絶対バズらせたいとか、絶対いろんな人に知ってほしいなって思いましたね」

 ​語尾に確かな熱がこもる。甘くポップな楽曲の裏にあるのは、グループの知名度を押し上げようとする野心だ。

​ 「2番の世界観が休憩から始まるんです。食べすぎちゃってお腹ぎゅるぎゅるで休憩しようっていう感じなんですけど、フレーズが可愛くて。『ふわふわ不安』って。ふわふわ〜ん、でも不安で、みたいな。それを『バニラみたいに溶かしていくよ』っていうフレーズがあるんです。

 私、甘いものが大好きで、甘い物食べたら幸せになれるっていうところが、もうこの曲の全体になってると思ってて。この曲は聴いてもらったら幸せになれる曲だなって思います」

​ 大好物のチョコレートを思い浮かべるように表情を和ませるが、ひとたびステージに上がれば、その視線は甘さの中に計算されたプロのそれ。

​ 「他の曲よりちょっと頑張って可愛めにしてるんですけど、ウインクを結構多めに入れています。結構いろんな箇所で入れていて。歌割りがすごい細かかったりして、入れ替わりが激しい曲なんです。ラストサビの入りが私のソロから始まるんです。『キミと』っていう3文字なんですけど、いきなり来るので見落とされちゃあ困るんですよ。そこでウインクとかしてたりするので絶対見て欲しいポイントですね」

 ​わずか数秒、たった3文字のフレーズ。そこに自身の存在を刻み込んだ。

 さらに、この楽曲はリリースイベントを経て、予想外の熱量を生み出した。

 ​「これ、ファンのみんながいて完成する曲なんですよ。曲中には、いろんな振り付けがあるんですけど、ファンの皆さんとできるような振り付けがあって、横移動をするところがあるんです。そこをリリースイベントを経て徐々に徐々にみんなで、統率の取れた動きになって。みんながうわーって横移動するような感じになってて。コールとかもたくさんみんないろんなこと叫んでくれてて。リリースイベントを経てやっと完成した曲だなっていう感じです。

 横移動ができるような曲が今までなかったんです。他のアイドルさんとかのカバーをさせていただく時にそういった振り付けがある曲があって、『できたらいいなあ』って思ってたら来てくれたので、『やった!来た!』っていう感じでした。頑張りました」

 ​汗と熱気まみれのフロアで、それぞれの推しメンと一体になるように同じ方向へ波打つ。客席にうねりが生まれる。それはまさに、天候の嵐をも凌駕する、ライブハウスやイベント会場に巻き起こる熱狂の嵐だ。

​ カップリング曲「カナリアンフライト」の話題に移ると、声のトーンが一段、低く深くなった。背筋が伸びる。

​ 「私が参加させていただいた曲で初めてみんなのソロパートがしっかりある曲になってて。2番のサビ中を歌わせていただいてるんですけど、サビって言ったらもう盛り上げないといけないので、全力で歌ってるんです。歌詞的には応援ソングみたいに鼓舞してくれるような曲になってます。私の歌詞もちょうど『見えない未来をゼンシンで照らせ』っていうところなので、みんなを鼓舞するように、しっかり届けるように全身で歌ってます」

 ​綺麗な声で整った歌を届けるのは、プロの声優ならば容易いことかもしれない。だが、白城もえのという表現者は、あえてその型を自ら壊しにいく。

​ 「声というよりはやっぱり心を一番大事にしたい。全身でそのキャラクターを動かしまくりたいなと思っていて。声も綺麗に出そうとしてるわけじゃなくて、ちょっと汚い声を入れるだとか、そうした方が生きてる感じがするので。やっぱ全身でお芝居をしてます」

​ 息継ぎのノイズ、喉を震わせる歪み。あえてノイズを混じらせることで「生」の生々しさを刻み込む。

​ もう一つのカップリング「君がいた渚」では、「普段とは違う白城もえのがいる」と微笑む。

 ​「普通の私、普通の白城もえのが歌いやすい感じの曲で、キー的にもちょっと出しやすい位置の曲なんです。歌詞もちょっとエモーショナルな切なさも入ったような歌詞になってるので。全員の声が入ったのを聴いたら、『あ、爽やかだ』ってなって。でも爽やかなんですけど、私はちょっとだけエモめに歌ってるというか。もしかしたら皆さんもちょっとだけそう思ってるのかなって思います。この3タイプ全部違う感じの曲なので、個性が出てるってところで」

 ​傷つくことを恐れず「生きてる感じ」をフロアに叩きつける。そこがただ綺麗、ただかわいいを超えて深く、鋭く突き刺さるのだ。

​ 約35分間のソロインタビュー。終わっても窓の外では、まだ雨粒が強くガラスを叩き続けていた。​「晴れの国」の恩恵は確かに持ってこられなかったかもしれない。

​ しかし、そんなものは必要ない。

​ ステージに立てば、その生きた声、豊かな表情、華奢な身体から放たれる落雷のような熱情が、客席に狂騒の嵐を巻き起こす。​応援してくれる人々の憂鬱な日常を晴らし、明日を生きる活力を与えてくれる。だから、ファン1人1人も推しのために今日も現場へと足を運ぶ。

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