Sadie美月「楽曲にとって何が最適か」11年ぶり新作「悪の花」で魅せた成長

[ 2026年10月12日 07:30 ]

Sadie美月「楽曲にとって何が最適か」11年ぶり新作『悪の花』で魅せた成長
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 5人組ロックバンド「Sadie」が、約11年ぶりとなる完全新作「悪の花」を9月23日にリリースした。約8年半の活動休止を経て2023年に再集結した5人が、いよいよ本格的に現在地を示す行動に出る。ギターの美月がスポニチの単独インタビューに応じ、たどり着いた新境地と新たな音への揺るぎない誇りを明かした。(ヴィジュアル系特集取材班)

 再始動後、まず過去の楽曲をセルフカバーする作業から歩みを始めた。当時のフレーズを忠実に活かすべきか、それとも現在のアレンジを加えるべきか――そのバランス感には特有の窮屈さと難しさがあったという。だからこそ「悪の花」の制作は、美月にとって待ちわびた解放の瞬間でもあった。

 「完全に真っさらな新曲だったので。そういう部分で、11年間の成長と経験を詰め込めた点ではすごく良かった」。
 空白の期間、美月は別のプロジェクトでひたすらにギターを弾き続けた。そこで得た最大の武器は、手元のテクニック以上に「視点の変化」だった。「昔はどちらかというと、激しく聴かせる、かっこよく聴かせるというのを重視していたんです。でも今は、楽曲にとってどういうアプローチが一番いいのかを重視するようになった」。

 そのしなやかな姿勢は、相方であるギターの剣(つるぎ)が持ち込んだデモ音源への向き合い方にも如実に表れている。「剣ちゃんのギターの美味しいところを邪魔しないように。せっかくのツインギターなら、自分は合間を縫って何か美味しいフレーズを弾きたい」。主役を食うのではなく、極上のスパイスとして楽曲を彩る。

 しかし、レコーディング現場は常に生き物だ。タイトなスケジュールの中、歌が入った段階で「サッと曲に入る短いアプローチにしたい」という意見が上がり、突然イントロの尺が半分になるという急な変更に見舞われた。美月が自身のパートの中で綿密に計算していた“起承転結”は崩れ去った。だが、慌てない。「半分になったので、ちょっと別の構築に変えました」。長年の経験で培われたロジックを総動員し、瞬時に最適解へと組み替えてみせたのだ。

 さらに、中盤のキャッチーなギターソロの前にはあえて怪しさを演出。激しさの中に計算し尽くされた違和感を忍ばせ、狙い通りに楽曲のポテンシャルを極限まで引き出していく。

 すべてのピースが組み合わさり、完成した音源を初めて聴いた時。美月は息をのんだ。助走を終えてメインのイントロへ入り、ツインギターの音がガッと重なった瞬間。「今までの活動休止前の音とは違う迫力。他のメンバーがどう出てくるのか楽しみにしていたんですが、みんなのフレーズも音色もバージョンアップしていた」。そこには、苦楽を共にしてきた盟友たちの、確かな11年分の成長が刻まれていた。

 長く待たせた分、ファンの間には「もっと激しい曲でくるのではないか」という予想があることも理解していた。過去のSadieらしさに寄せるという安全策もあったはずだ。それでもあえて、今の自分たちが信じるキャッチーさも兼ね備えた楽曲を提示し、先日、横浜のライブでついにファンの前へ放った。「昔らしくこなかったな、と言われるかと思ったんですけど、意外と好評ですごく嬉しかったです」。自分たちが選び取った現在地が受け入れられた安堵が胸を満たした。

 「楽曲にとって何が最適か」。過去の幻影や己のエゴを捨て、ただ純粋に音と向き合うその覚悟が、Sadieの新たな歴史を彩っていく。

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