【実録 竜戦士たちの10・8】(103)今中慎二の登板回避で大役任されたルーキー遠藤政隆が初登板初勝利
2025年6月20日 23時28分
巨人に3・5ゲーム差の2位で6月を迎えた1994年の中日だったが、6月25日終了時点で巨人とのゲーム差は大きく開いて9・5。巨人の勢いは「このままいけば球宴(7月19、20日)前にもVマジックが点灯するのでは」とさえ感じさせた。
そんな6月も残り3試合。全勝で月間5割となる中日が26日の阪神戦(ナゴヤ)の先発マウンドに送り出したのはプロ初先発となるルーキーの遠藤政隆だった。ローテーションでいけば今中慎二が中6日となるのだが、実は19日の広島戦(広島)で打球が直撃した左脚の痛みが引かず、登板回避となったのだ。
大役を任された遠藤は毎回のようにピンチを背負いながらも5イニングを最少失点に抑え、救援陣にバトンタッチ。あとを受けた北野勝則、鹿島忠、落合英二、小島弘務も阪神の反撃を1点に退け、元大洋のエース遠藤一彦をいとこに持つルーキーに、うれしいプロ初勝利をプレゼントした。
打っては大豊泰昭が6試合ぶりとなる16号。「打球が上がらないんだ」と23日から早出特打を日課とする4番打者に久しぶりに笑顔が戻った。
「まだ詰まっているから打球に勢いがない。でも、少しずつ良くはなっている」。こう言う大豊のバットは相手が変わった28日の広島戦(ナゴヤ)でも火を噴いた。
7回1死。紀藤真琴の低め141キロを2戦連続の17号。だが、これがチーム初安打。先発の鶴田泰がメディーナ、江藤智に2ラン2発を浴びたあとでは反撃も遅過ぎた。米国で右足親指痛の治療を終え26日に再来日したパウエルも5番・中堅でスタメン復帰したが4打数無安打。「前半に投手が打たれたら、今のウチの打線では苦しいよ」と高木守道監督。5月に続き、6月も月間負け越しが決まった。
一方、26日の横浜戦(横浜)を槙原寛己の完投勝利で貯金を20に伸ばした巨人は28日から東京ドームで阪神を相手に6月最後の2連戦。序盤に3点のリードを許す苦しい展開となったが、7回に追いつくと9回に中西清起から元木大介が左翼席にサヨナラ弾をたたき込んだ。
「真っすぐです。変化球も頭にはあったけど、僕の力では真っすぐしか飛びそうになかったから」。26日に続く2戦連発の4号に、お立ち台のヒーローは「自分でも怖いぐらいです」とおどけてみせた。
これで貯金を21とし、2位のヤクルトに10ゲーム、3位・中日には10・5ゲーム差。それでも長嶋茂雄監督は「いやいや、まだまだもっと…」と、どこまでも貪欲だった。=敬称略 (館林誠)
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