【実録 竜戦士たちの10・8】(117)気温39・8度のナゴヤ球場…大豊泰昭の2発が最高の”暑気払い”
2025年7月25日 23時40分
1994年シーズンも、いよいよ勝負どころの8月に突入した。中日は2日の阪神戦(甲子園)が、そのスタート。だが、打線のタイムリー欠乏症は”ツキ”が変わっても変わらない。郭源治が完投したものの、あと一本が出ず1点差負け。「チャンスで決められんからこうなる」。高木守道監督もお決まりのコメントを口にした。
首位・巨人が7月を9勝12敗と苦しみながら、2位との差が一向に詰まらないのは、追いかける中日、ヤクルトも歩調を合わせるようにモタついたからだ。7月を同率2位で迎えた両球団だったが、中日はやっと月間5割。ヤクルトは巨人を上回る月間4つの負け越しで7月を終えた。
その結果として、縮まったのは2位以下の差。8月2日の時点で首位の巨人は貯金18。9ゲーム差で勝率5割の中日と阪神。そこから2ゲーム開いてヤクルト。さらに各1ゲーム差で広島、横浜と続く。ペナントレースのほぼ3分の2を消化しながら、貯金は巨人が独り占めという「1強5弱」状態となっていた。
8月最初の3連戦は巨人が広島に負け越せば、中日も阪神に負け越し。8ゲーム差で、5日から8月最初の直接対決を迎えることになった。
5日の名古屋は観測史上2番目という気温39・8度を記録。それでもスタンドを埋めた熱心なD党には、大豊泰昭の2発が最高の”暑気払い”となったに違いない。1回に斎藤雅樹の外角ストレートを左翼席に27号2ラン。さらに6回にも斎藤から左翼席にこの日、2本目の2ランを架けた。
「1本目はうまく打てた。普通なら切れていくのに…。2本目はちょっと詰まったけど、風に助けられた」と言う大豊を、「あれこそ狭いナゴヤ球場の打ち方」と高木も絶賛した。
守っては7月30日の広島戦(広島)で自身、プロ最短の2イニングKOを食らった今中慎二が粘り強く141球を投げ完投。最多勝争いのトップに並ぶ11勝目を挙げた。「バテた?」の問いに「最初からこんな状態。自分のペースで全然投げられんかった」と今中。だが、細身の左腕を苦しめたのはナゴヤ球場特有の蒸し暑さだけではなかった。
前回登板から中5日。今中は一度もブルペンで投げず、この日のマウンドに上がっていた。「調子が悪い時には投げん方がいい。省エネになるし、気持ちも吹っ切れる。自分なりに考えてのことですよ」と説明したが、実は球宴前後の中2日登板の疲労が、肩に引っ掛かりとして残っていたのだ。 =敬称略
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