■10月23日 火星と聞くとつい、タコのような体形の火星人を思い浮かべてしまう。日本の漫画で何度も描かれてきた空想の姿が、脳裏に焼き付いているせいか。元はと言えば、火星人の襲来を描いた英国のSF作家、H・G・ウェルズの小説「宇宙戦争」(1898年)の挿絵だという。
タコのようかどうかはさておき、人類が火星の生物の痕跡と遭遇するチャンスが出てきた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が20日、火星衛星探査機「MMX」の打ち上げに成功。2029年に火星と誕生起源で関わりの深い衛星フォボスに降り立ち、31年に世界で初めて砂や石を持ち帰る往復約5年の計画という。
その中にまじって、生物の痕跡が存在する可能性もあるからだ。加えて、MMXはNHKがJAXAと共同開発した小型の固定カメラを搭載している。宇宙空間やフォボスへの離着陸、地表や火星のクリアな画像を記録し地球に送信する予定で、「写真をコマ送りすれば、パラパラ漫画のように映像に近くなる」(NHK広報局)という。
同局では「早ければ来年3月までにまず、宇宙空間の画像を届けたい」としており、ニュースや科学番組で順次放送する予定。折しも、米国人実業家、イーロン・マスク氏が傘下の宇宙開発企業スペースXと電気自動車や人型ロボットの開発を手がけるテスラの経営統合に意欲を表明。その意図は人類火星移住計画の一歩という。
温暖化が進み、紛争が絶えず、誰もが地球脱出を考える日が来るかもしれない。無論そうなってほしくはない。が、宇宙開発に加え放送でも世界をリードし宇宙の謎に迫ることは、日本の将来を担う世代に大きな感動と勇気を与えると信じたい。(森岡真一郎)