「集大成」のその先を――Sadie剣 20年の軌跡を越え、全国ツアーで響かせる「人生の彩り」

[ 2026年10月13日 20:30 ]

「イントロは一番の顔」Sadie剣が語る、11年ぶり新曲「悪の花」に込めた“数秒の執念”
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 11年ぶりの新曲「悪の花」、そして12年ぶりのフルアルバム「PANDRA」。過去を鳴らし直す段階を越えたSadieは、来年1月8日から全国ツアーに乗り出す。20年の歩みを振り返るだけではなく、新曲をライブで育てながらファンと新しい歴史を刻んでいく旅。ギターの剣がその先に思い描くのは、Sadieを長く続け、音楽を通じてファンの「人生の彩り」になっていく未来だ。(ヴィジュアル系特集取材班)

 「自分たちの人生において、Sadieという存在や活動をより長く、良いものにしていきたいと思っています」

 再始動のきっかけは、ドラムの景から届いた「もう一度ドラムを叩きたい」という連絡だった。そこから再集結、ライブ、リバイバル3部作、新曲「悪の花」、そして「PANDRA」へとつながってきた。ただ、剣の中にあるのは単に「もう一度やる」という感覚ではない。今のSadieをこれからの人生の中でどう育て、長く続けていくのか。その視点が以前よりも強くなっている。

 「僕たちが10代の頃に憧れた先輩バンドのように、自分たちの人生を図りながら、同時に聴いてくれるファンの皆さんにも人生の彩りを届けられるような活動を重ねていきたいですね」

 10代の頃、憧れていたバンドは、ステージの上から日常とは違う景色を見せてくれる存在だった。その背中を追いかけていたSadieも、20年を経て、今度は誰かの人生に色を添える側になった。それでも懐かしさに寄りかからず、今の自分たちを更新し続けようとしている。

 その思いが次に形となるのが、来年1月8日に幕を開ける全国ツアーだ。「悪の花」をはじめとする新しい楽曲を軸に、これまでの楽曲も織り交ぜる。20年間の“答え合わせ”ではなく、現在の5人だからこそ見せられるSadieを各地へ届けていく。

 「全国ツアーは新曲を中心に、新たなSadieを見せるツアーになると思います。20年の歩みを振り返る集大成だけでなく、ファンのみんなと、ここから本当の意味でまた新しい歴史を刻んでいきたいと考えています」

 “集大成”には、どこか終着点の響きもある。だが剣が見ているのは、その先だ。20年を締めくくるのではなく、次の歴史を始めるために全国を回る。新曲を各地のライブでファンと共有し、育てていく時間にもなる。

 「来年は『悪の花』や新曲をライブでガンガン聴いていただける機会が増えますし、これまでにリリースしてきた楽曲も織り交ぜながら、熱いツアーにしていきます」

 その未来をともに作る相手として、剣が繰り返し口にするのがファンの存在だ。「悪の花」が公開された際、YouTubeやXではファン自身が共有リンクを貼り、Sadieの新しい音を周囲へ広げていった。バンド側の発信だけでは届かなかった場所へ、聴いた人の言葉によって楽曲が飛んでいく。その光景にも手応えを感じた。

 「自分たちが頑張って宣伝するのも大事ですけど、それだけでは限界があります。ファンの子たちや、シーン全体を愛してくれているリスナーが『Sadieの新曲出るみたいだけど、めちゃくちゃカッコいいじゃん』と周囲にグイグイ広めてくれる口コミが、一つのブームや大きな爆発を作るきっかけになります」

 その輪を、長年Sadieを支えてきた人たちだけにとどめるつもりもない。ヴィジュアル系を愛するリスナーはもちろん、もっとライトに触れる人にも広げ、その先でライブやCDへつながっていくことを願っている。

 「積極的にSadieの音楽に触れてもらえる機会が増えていったらうれしいですね」

 全国ツアーを前にしても、日々は華やかなことばかりではない。RAZORを含めた活動で多忙なスケジュールが続く中、剣は目の前の仕事と自身の身体を見ながら、一つずつ進んでいる。勢いだけで突っ走るのではなく、自分の状態を確かめながら全力を尽くす。その姿にも、20年を重ねた現在の剣がにじむ。

 「変に思い詰めたり頭をパンクさせたくないので(笑い)、目の前にあるタスク一つひとつと身体の状態と相談しながら全力を尽くすだけですよ」

 かつてSadieの音楽を聴いていたファンも、この20年でそれぞれの人生を歩いてきた。仕事、家庭、子育て、環境の変化。昔のように頻繁にライブハウスへ足を運べなくなった人もいるだろう。それでもライブの日を楽しみに日常を過ごし、新曲に心を動かされ、同じ音楽を好きな仲間と語り合う。そんな時間もまた、日々を少し鮮やかにしてくれる。

 だからこそ、剣の口から出た「人生の彩り」という言葉が、今のSadieにはよく似合う。

 1月8日から始まる全国ツアーは、20年を歩いてきた5人と、それぞれの時間を生きてきたファンが再び同じ場所に集まり、次の時間を作っていく旅でもある。

 20年前に好きだった音楽が、20年後の人生にも寄り添っている。その音を楽しみに、また明日からの日常へ戻っていける。

 Sadieが全国のステージから届けようとしているのは、そんな「人生の彩り」なのかもしれない。

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