桂二乗 真面目で優しいけど頑固者?「“人となり”出る落語を」親子会&独演会控える、桂米二の筆頭弟子
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【古野公喜のおもろい噺家み~つけた!】超マジメ、との評判を聞く。スタッフから「ノンビリしたやさしいケチャップ好きの噺家さん」と慕われる。後輩噺家からイジられる一面もある。一方で、マイペースで頑固なところも。噺家生活25年目の桂二乗(48)。「私は素しか見せられない。二乗という“人となり”が出る落語をやりたい」と言う。
待ちに待った寄席が1カ月後に迫る。11月20日に「第3回米二・二乗親子会」(天満天神繁昌亭・夜席)を開催。師匠の桂米二(69)は「まめだ」と他一席、二乗は「天神山」と他一席を演じる。また“親子”トークも予定している。「メチャクチャうれしい。こんな私のような弟子が師匠と親子会です」。来年1月11日には独演会(天満天神繁昌亭)も開催する。
小学6年まで剣道、中学、高校ではバレーボールに打ち込んだ。高校時代は遅刻したり、マジメな生徒ではなかった。部活動中心の“青春”だった。高校3年の進路指導で「何日も遅刻してる奴をどこの企業にも履歴書を持って行けない」と言われ、就職を選択しなかった。お笑い好きであったこともあり1年間、HONDAの工場でアルバイト。「お金を貯めて大阪に出ました」。
NSC(吉本総合芸能学院)に入学。大阪校21期の同期にはとろサーモン・村田秀亮、ギャロップ・毛利大亮、天津、レギュラーらがいる。卒業後、漫才コンビでオーディションを受けるなど活動していたが、自身は「漫才とかコントでなく、お笑いのお芝居をやりたかった」。
大阪の小劇団を見学したり、レッスンに参加。ワークショップで桂よね吉(54)に出会った。「一度、落語を見に来ないか」と誘われ、京都の喫茶店「氣樂堂」で開かれていた若手の落語会へ。「初めて生で本格的な落語を聞きました。いい世界だなと思いました」。芝居は芝居でも“一人芝居”の世界へ進む道を定め、入門先を探し始めた。
いくつかの門下を調べて「米朝一門っていいな」と感じ、当時、弟子のいなかった桂米二を選んだ。「理屈でなく、この人なら」とビビッときた。何度も落語会へ足を運び、24歳の誕生日を迎える前日、大阪・太融寺の落語会で入り待ちして弟子入り志願した。だが、師匠の答えはNO。「ウチ、取らんで」とあっさり断られた。それでも一度決めた道は何があっても貫くガンコ者。近鉄百貨店でアルバイトしながら何度も弟子入り志願。「諦めてないアピールをしました」。
米二からは「よそを紹介するで」と何度も断られたが、丸1年経った頃、米朝一門が世話になっている「落語を食べる会」に呼ばれた。噺に出てくる料理を食べて楽しむ会。開催していた京都・祇園の料理屋「いし田」の大将・石田静飛虎さん(10年7月に死去)が米二に「そろそろ弟子を取らなアカン」と勧めたそうで、面談後の03年7月にようやく念願がかなった。
師匠の自宅近くに住み、「いし田」で働きながら通いで修行。師匠、石田さんの「2人に毎日、怒られてばかりでした」。要領が悪く、イライラさせることが多かった。それでも「石田さんは私の恩人の1人です」と懐かしそうに話した。年季明けするまで3年間禁煙を自らに課した。だが、年季明け直前にちょっと一服。近くの焼き鳥屋でタバコを燻らしていると、そこは師匠の馴染みの店。師匠に喫煙者であることがバレるドジな一面もご愛敬だ。
二葉、二豆と妹、弟弟子ができて感じることがある。「師匠にもっと素直に甘えておけばよかった」。世代が違えど、二葉、二豆らは師匠と平気でしゃべる。自分は筆頭弟子。入った頃は「師匠はナイフでした」。師匠の前ではいつもかしこまり、自らが壁を作っている。今も電車に同乗した際、「絶対に横では眠らない」。代わりに二乗の娘は師匠にかわいがってもらって膝枕。「師匠にチューして、師匠も笑ってる。考えられへん」とちょぴりうらやましさも。「なんか怒られることがあったら、娘を連れて行こうかとさえ思ってます」と笑った。
落語は古典派。今風に工夫もするが、それ以上に自分の人生経験、生き様を感じてもらうことを願う。「同じセリフでも、20年前とは違うことをフワッとでも感じてほしい」。これまでの人生グラフは常に右肩上がり。「今が一番。また明日が一番。これを死ぬまで続けたい。ドラマチックなことより、日常の楽しさが少しずつ。平凡の非凡。それが一番すごい」。大事なのは“日常”だ。
◇桂 二乗(かつら・にじょう)本名=高井豊史、1978年(昭和53年)5月29日、三重県四日市市出身の48歳。03年7月、桂米二に入門。13年に「第8回繁昌亭大賞」輝き賞、15年に「なにわ芸術祭」新人賞を受賞。趣味は酒。
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