【実録 竜戦士たちの10・8】(140)今中慎二、9連勝呼んだ意地の完投 「10.8」のチケット求め中日ビルに人、人、人…
2025年9月22日 22時45分
いよいよ大詰めを迎えた1994年のペナントレース。中日と巨人のゴールを目前にしての並走は10月2日も続いた。
中日はナゴヤ球場での横浜戦。先発は首位に並んだ9月28日の巨人戦(ナゴヤ)で8回からリリーフし、3セーブ目を挙げた今中慎二だった。1回、いきなり波留敏夫に二塁打を打たれた後、送りバントと犠飛、6球で先制を許したが、その裏の中日も清水雅治のバント安打を足場にわずか4球で同点に追いつく。
こうなると、流れは中日。5回にパウエルの中前適時打で勝ち越し、6回には今中自ら内野安打を放って追加点。「風邪気味で体調は良くなかった」と言う左腕が「8連勝にも(勝ち星で)絡んでないからね。今日は絶対に連勝は止められんと思った」と完投でチームの連勝を9に伸ばして、首位を守った。
「強いというのか、いい点が入る。いよいよ、あと3つだ。だんだんと負けられんという気持ちになってきたよ」。高木守道監督の口ぶりは、宿敵・巨人とのデッドヒートを楽しんでいるようにも聞こえた。
負けられない巨人はヤクルト戦(東京ドーム)。松井秀喜が「3番・右翼」でスタメンに復帰した試合は、2回に巨人が先制するも、先発の斎藤雅樹が3回に突然4失点と崩れて、逆転される苦しい展開。しかし、7回に追いつくと、試合を決めたのは落合博満のバットだった。8回に山田勉から左翼席に決勝の2ラン。ダイヤモンドを一周してベンチに戻る背番号60を、長嶋茂雄監督も帽子をとり、最敬礼で迎えた。
「ちょっと差し込まれ気味だったけど、気持ちが届けてくれたんでしょ。ここまできたら、誰がヒーローかなんて関係ない。体調も関係ない」。お立ち台の落合が珍しく“気持ち”を強調すれば、「今日のゲームは大きい。落とすのと落とさないでは、大きく違ってきますから」と長嶋も興奮を隠そうとはしない。
中日、巨人ともに試合のない“休息日”となった3日は10月8日の中日ー巨人戦(ナゴヤ)のチケット発売日。名古屋・栄の中日ビル1階にある「中日サービスセンター」は人、人、人の波…。一番乗りは1日の午前10時で、3日の午前5時には約700人が列をつくり、グルリとビルを一周していた。
混乱を避けるため5時30分には職員が整理券1200枚(入場券2730枚分)を配布。午前10時の販売開始を7時30分に変更したが、即完売。異様な盛り上がりの中、「10・8決戦」まで、あと5日となった。
=敬称略
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