「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で優勝した桑木志帆(右)とキャディーの長谷部久美さん 来季から米ツアーに主戦場を移す桑木志帆には、日本でやり残していた「夢」があった。9月27日まで行われた女子ゴルフの「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」。今季国内ツアー3勝目を挙げた桑木が表彰式のスピーチで「長谷部キャディーと優勝することができて、すごくうれしい」と述べると、グリーン脇で見守っていた一人の女性の目から、涙があふれた。
その女性は、プロキャディーの長谷部久美さん。桑木を支えて4季目で、毎年3~5試合ほどタッグを組んできたが、2人で優勝するのは初めてだった。長谷部さんは潤んだ目で「やっぱり、一緒に勝ちたいというのがあった」。最後の最後に、2人の願いは現実となった。
長谷部さんが桑木のキャディーを務めるのは「KKT杯バンテリンレディス」、「NEC軽井沢72」に続く今季3度目で、この大会がシーズン最後だった。他のプロのキャディーも担当しており、今のところ桑木が来季から挑戦する米ツアーでバッグを担ぐ予定はない。桑木との最後のタッグになる可能性がある「ラストチャンス」(長谷部さん)で、つかんだ頂点だった。
ツアー未勝利の時期から間近でプレーを見てきた長谷部さんは、「マネジメントが全然違う」と桑木の進化を表現する。以前は特にパー5のホールで果敢に攻める姿勢が印象的だったというが、「(今季は)メリハリがある。ボギーが少ないから崩れることがない」と目を見張る。
桑木は8月に「AIG全英女子オープン」で優勝。メジャー覇者として脚光を浴び、周囲を取り巻く環境は大きく変わった。だが、人柄は変わらない。出会った時から一貫して謙虚で、周りを明るくする人間性に、長谷部さんは「みんなに愛されるゴルファー。応援したくなる選手」とほほ笑んだ。
試合後の会見で、桑木は晴れやかな笑みを浮かべながら言った。「ずっと久美さんと優勝するのが夢だった。今週は久美さんのために勝とうと思えた試合でした」。苦楽をともにしてきたキャディーに捧げる優勝でまた一歩、初の年間女王へ前進した。今季も残り9試合。気さくで飾らず、周囲から愛される桑木が、女王へ続く栄光の道を歩んでいく。(鈴木和希)