引退セレモニーで石山泰稚(右)に言葉をかけるヤクルト・石川雅規=神宮球場 「まねしろと言われても絶対にできない」。そう断言するほどに、近くにはいるけれど遠い偉大すぎる存在だった。ヤクルト・石山泰稚投手(38)にとって今季限りで現役を引退した石川雅規投手(46)は同じ秋田出身の大先輩。「同郷でずっと面倒を見てもらった。野球以外でもずっと一緒にいさせてもらった」。感謝の思いが大きいからこそ、10月3日の引退試合では大粒の涙があふれ出た。
「ずっと耐えていたんですけど、(記念撮影の際に)いざマウンドで石川さんの顔を見たら、すごく勝手に(涙が)出てきた。石川さんには『石ちゃんどうせ泣かないんだから、目薬持ってこい』と言われていて『分かりました』とか言っていたんですけど…なんか大量に出てきましたね」
2013年にドラフト1位でヤクルトに入団してから14年。先発とリリーフでポジションは違えど、いつも背中を追ってきた。シーズン中に限らず、オフのイベントやトレーニングも声をかけてもらい「オフもずっと一緒にいる感じだった」。引退の2文字を聞いても実感はわかず、「本当に終わるのかなというのはずっとあった。終わりなんだなと思ったら泣いてしまって…やっちまったと思っていました」としみじみ明かした。
野球に対する探求心、熱意。残り12勝に迫っていた200勝という目標に向け、努力し続ける先輩の姿を近くで見てきたからこそ、心残りがある。「200勝はやっぱり達成してほしかったな」。脳裏に浮かぶのは「罪悪感」だ。「抑えや中継ぎで石川さんの勝ちを消した記憶がすごくある。あのとき僕が抑えていたら、もっともっと勝ちは伸びていたんじゃないかって。そういう罪悪感が残っているので、ただただ僕の罪悪感を消してほしかった」。照れを隠すように冗談交じりに本音を打ち明けた。