【7回制を考える】議論の肝は地方にあり「時期前倒し困難」「甲子園と異なる設備」で安全守るための実情

[ 2026年10月28日 05:30 ]

兵庫県大会決勝戦で体調不良を訴える選手
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【兵庫県高野連・高橋滋理事長に聞く「地方大会の実情、課題」】

 シリーズ「7回制を考える」の第3回は「夏の地方大会の実情を知る」をテーマとし、兵庫県高野連の高橋滋理事長(64)にインタビューを行った。7回制導入の鍵を握るのは、酷暑の中で9回制を行えるのか否か。さらに言えば、設備が限られる地方大会を安全に実施できるのかどうかが議論の肝となっている。そこで今夏の参加チーム数が全国4位、開催球場が9カ所と多岐にわたり、困難なかじ取りを強いられる兵庫大会の現状を聞いた。
           (聞き手=河合 洋介)

 ――暑さ対策の観点から今夏の兵庫大会を振り返ってください。

 「年々暑さが厳しくなる中、今夏の熱中症疑いによる救急搬送件数は、ここ2、3年よりは少なく済みました。気温などの多くの要素が絡むため、これまで講じた対策の効果なのかは分かりません」

 ――兵庫大会で取り組んでいる暑さ対策を教えてください。

 「予算が限られる以上、実施できる対策は限られます。その中で兵庫では19年から一日3試合日を廃止し、一日最大2試合に変更しました。熱中症の観点から第3試合はリスクが高いと考えたからです」

 ――なぜ第3試合はリスクが高まるのか。

 「1、2試合目の影響を受ける第3試合は、試合開始時間が読みづらい。そのためチームが早めに球場に到着し、その待機時間が長くなる分だけ体力を消耗する。実際に第3試合の熱中症疑いの発症数も多かった。一日2試合で日程を組むことは非常に難しいのですが、開幕日を早めるなど対応をしています」

 ――第2試合を夕方開催にする「朝夕2部制」を採用する県もあります。なぜ兵庫では、2試合連続で実施しているのですか。

 「屋外での運動が原則禁止となる暑さ指数が都道府県によって異なります。第2試合開始予定の午後1時でも兵庫県が禁止とする暑さ指数の基準は超えないと見込み、2試合連続で実施しています。地方大会の場合、2部制にした場合も午後1時ごろに屋外でアップを始めることになり、どこまで2部制の効果が見込めるのか分からない。夕方開始の場合、夕立などで試合を完了できないリスクも考慮する必要があります」

  ――暑さ対策として地方大会を前倒しできないのかという声もあります。
 「開催時期の変更はものすごく大変な作業を伴うことになるでしょう。兵庫の球場は7月末まで優先的に高校野球に割り当ててもらっていますが、時期を前倒すなら、その時期に使用している連盟との調整が必要になる。さらに審判確保の問題も出てきます。一日2試合8会場で開催すれば一日16試合の審判が必要になる。その数を平日に確保することは簡単ではないでしょう。開催時期の変更など抜本的な改革を各都道府県高野連で実施することは難しいと思います」

 ――7回制の議論では選手や審判だけでなく、観客の暑さ対策も焦点になっています。

 「たとえば明石トーカロ球場には、バックネット裏の一部を除いて屋根がない。それは球場が明石城の跡地にあるため、景観に関する条例によって屋根をつけることができないからです。このように地方大会の観客の暑さ対策は、地方ならではの事情も絡みます」

 ――多くの球場を使用する以上、暑さ対策の設備が万全ではない球場もあるのではないですか。

 「ベンチ裏にエアコンのある球場もあれば、反対に球場周りに日陰すらない球場もある。日陰で待機できない球場では、アップ開始までチームバス内で時間調整をしてもらうこともできますが、そのような環境を全ての学校が準備できるわけではない。ここは難しいところです」

 ――7回制導入の理由として、先生の働き方改革も理由に挙げられています。
 「試合時間が短縮されれば連盟役員の負担は減ることは確かですが、拘束時間が減ると言っても一日1時間程度でしょう。議論を進める上で働き方改革が大きな割合を占めることはないはずです」

 ――働き方改革を改善する必要があるなら、地方大会運営のボランティアを増やすことはできないのですか。

 「試合開催日は一球場に13人前後の連盟の方々がいます。その中には学校職員を退職した方が手伝いに来てくれる場合もあります。ただし過去に連盟役員の経験がないと、その仕事を担うことは難しい内容だと思います」

 ――夏の地方大会を継続していく上で今後の課題はありますか。

 「顧問の先生も平日は授業などで参加しづらいため、別の形で人員が増やせればいいなとは思います。予算があれば、さらにできることもあるでしょう。人員や経費と相談しつつ、できる限りの対策を検討していきたいと思います」

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