藤田さいきは気遣いの人 プレーオフ敗戦後の行動と言葉にも感動

[ 2025年5月14日 15:00 ]

<ワールド・サロンパス・カップ・最終日>フレーオフを終え関係者に付き添われ引き揚げる藤田さいき(撮影・西尾 大助)
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 【福永稔彦のアンプレアブル】女子ゴルフの今季メジャー初戦ワールド・サロンパス・カップは申ジエ(37=韓国)の逆転優勝で幕を閉じたが、プレーオフで敗れた藤田さいき(39=JBS)にも大きな拍手を送りたい。体調不良を抱えながら気力を振り絞ってプレーする姿には心を打たれた。

 ただ、この話には続きがある。競技が終わり、ギャラリーがいなくなったコースで、藤田が取った行動、口にした言葉に、また感動させられた。

 藤田は前週から体調を崩していた。いったん快方に向かっていたが、2日目のラウンド後には39度の高熱が出た。それでも薬を服用しながら強行出場。初日から3日目まで単独首位を守った。

 最終日はラウンド中に咳き込んでしゃがみ込んだり、氷のうで頭や体を冷やしたりする光景も見られた。75とスコアを落としながら何とかプレーオフに生き残ったものの1ホール目で力尽きた。

 あと一歩でメジャー2勝目を逃した藤田は18番グリーンで待っていた青木瀬令奈と抱き合うと「もう動けない」とつぶやき「支えているから大丈夫ですよ」という言葉を聞いて安心したように体を預けて泣き始めた。

 体は限界を超えていた。自力で歩くことができず、近くの病院に緊急搬送され「軽い熱中症」と診断された。

 その時点では、体調を考慮し取材対応は行わない予定だった。広報担当者は「書面でコメントを発表するか、コメントなしになる」と説明していた。

 関係者に背負われる姿も見ていたから当然の措置だと思っていた。だからその後「本人がコースに戻って来て取材に応じる」と発表された時には驚いた。

 病院から戻った藤田は「治りかけていたけど、試合の中で無理してこじらせてしまった。同伴競技者の申ジエちゃんや山城奈々ちゃんに迷惑を掛けて申し訳ない」と涙ぐみながら頭を下げた。

 熱中症の影響だろう。プレーオフ以降の記憶はあいまいになっていたそうだが「気力でしかやってなかった。ジエちゃんといい勝負ができたし、自分でも頑張ったなと思う。ジエちゃんのいいゴルフを見させてもらった。素晴らしい優勝者だと思う」と勝者を称えた。そして「もっとちゃんとジエちゃんを称えたかったけど、こんな結果になって…」と嗚咽(おえつ)した。

 親交の深い青木は、藤田について「とにかく気を遣われる方」と言う。その通りだと思った。そして、とても律儀な人だということも分かった。日本女子プロゴルフ協会の公式YouTubeによれば、その後、藤田はコース内で申ジエとハグを交わし「次は体調万全で頑張るよ。本当におめでとう」と祝福の言葉を伝えている。

 体調の回復を優先し、次戦SkyRKBレディース(16日開幕、福岡雷山GC)は欠場する。12日に更新したインスタグラムでは「応援してくれる皆さんの為にも絶対に優勝を掴み取りたかったのですが、残念な結果となり…悔しくて昨夜は眠ることができませんでした…今度こそ結果を残せるように今後とも精進します」と決意を記している。

 39歳はベテランと言われる年代だが、平均パット数1位、平均バーディー数7位と主要スタッツで上位につけ、パーオン率(67・9293%、21位)や平均飛距離(240・89ヤード、27位)でもトップで戦える数値を残している。敗北を糧にどう成長、進化するのか。復帰戦を楽しみにしている。(スポーツ部専門委員)

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