【7回制を考える】反対7割で前進なら「議論の意味ないと高校生に示してしまう」大学教授が指摘する問題点

[ 2026年10月21日 05:30 ]

インタビューを受ける同大・川井圭司教授
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【5月の意見交換会に出席した同大政策学部長・川井圭司教授に聞く=後編】

 シリーズ「7回制を考える」の第2回は、同大政策学部長の川井圭司教授(57)へのインタビュー後編を掲載する。「スポーツ法政策の視点から7回制を考える」をテーマに同教授に話を聞き、前編では日本高野連が学校という「構成員」の意見が反映されづらい構造にあるとの指摘があった。今回は、どのようにすれば、その「構成員」が意思表示できる構造になるのかを考える。(聞き手・河合 洋介)

 ――選手会があるプロスポーツと違い、部活動で構成員の意思を反映する構造づくりはできるのでしょうか。

 「可能だと思います。例えば、NPBで球界再編騒動が起きた04年、ナベツネ(渡辺恒雄)さんが“たかが選手が”と言った時(※1)、世間にも“プロ野球選手に何ができるのか”との風潮がありました。今は違いますよね。それは、あの時に行動を起こしたからです。“偉いさんが決めるから何も変えられない”となれば、議論しても意味がない、自ら変えていくことはできない、と高校生に示すことになるのではないでしょうか」

 ――ただし、指導者の反対意見も「8、9回にドラマがある」などが多く、部員の安全を守るために考え抜かれた意見が少ないように感じてしまいます。

 「高野連が反対を押し切ってでも改革しなければ…との気構えを持つ理由の一つは、ここにあると思います。これもやはり構造の問題と言え、構成員の主体性と責任は、制度や構造によって支えられるものです。この構造にメスを入れない限り、延々と同じ問題が繰り返されるでしょう」

 ――では、現場はどのように意思表示すれば良いのでしょうか。

 「都道府県レベルで議論する場を設け、高校生の代表が参加して意見したり、A高校、B高校の考えは…と意思が見えるようになるのもいいでしょう。最初は的外れな意見も出てくると思います。でも、議論を繰り返すうちに以前はできなかったことができるようになる。構成員が主体的に議論し、物事が変わっていく過程を高校生に示すことが大切なのではないでしょうか」

 ――スポーツ界では、競技団体が独占的に強い権限を持っているように見えます。

 「一国一協会制は合理的な仕組みですが、協会が構成員に一方的に条件を課せる独占的地位を生み出します。欧州では構成員の合意を経ないルール設定は、独占的地位の濫用として無効とされる方向に進んでいます。競争による外部圧力がない分、内部の民主主義が機能しなければならないというのが2000年以降の考え方です」

 ――反対多数で導入する場合も、意思決定の過程に正統性が問われていると言えます。

 「議論を繰り返すことで意見が成熟されていく。これが民主主義の肝です。結論は、想定と全く違う視点から出てくるかもしれない。暑さ対策で言えば医科学的な根拠を出した上で、相手の反論も聞ける環境をつくることが大事だと思います」

 ――議論がどう進むことに期待しますか。

 「物事を決める際、決め方の過程が重要になります。日本高野連が7回制に変える必要があると考えるのなら、専門家が出したデータをもとに、繰り返し議論する必要があると思います。プロセスを大事にすることが高校生や社会へのメッセージになると思います」 (終わり)

(※1)04年6月に球界再編問題が表面化。近鉄とオリックスの経営統合に反対した日本プロ野球選手会の古田敦也会長に対し、当時の巨人・渡辺恒雄オーナーが「分をわきまえなきゃいかんよ。たかが選手が」と発言。結果的には同年9月に選手会が史上初めて実施したストライキなどを経て、2リーグ12球団制が維持された。

 ◇川井 圭司(かわい・けいじ)1969年(昭44)4月22日生まれ、京都府宇治市出身の57歳。久御山(京都)から同大法学部を卒業し、法学研究科を修了。04年、同大の政策学部創設を機に母校で勤務。国際比較の観点からスポーツ法や政策課題を研究する。

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