阪神・高橋遥人「今年だけで終わりたくない」 球団23年ぶり沢村賞の栄誉も視線はすでに来季へ

[ 2026年10月27日 05:15 ]

沢村賞を受賞した高橋
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 今季最も活躍した先発完投型の投手を表彰する「沢村賞」の選考委員会(堀内恒夫委員長)が26日、東京都内で開かれ、阪神・高橋遥人投手(30)が全会一致で初選出された。今季は全23試合で先発し、16勝(3敗)、勝率・842はいずれもリーグトップ、防御率1・87は僅差の2位。通算5度の手術を乗り越え、球団初のセ・リーグ連覇に貢献したことが高く評価された。球団では03年の井川慶以来23年ぶりの受賞で、金杯と賞金300万円が贈られる。

 先発投手にとって最高の名誉でもある「沢村賞」に高橋が輝いた。選考基準7項目のうち、勝利数、勝率、奪三振、防御率の4項目をクリア。さらに79勝62敗2分けだったチームで最多の貯金13をマークしたことが高く評価され、4人の選考委員の意見が一致しての初受賞となった。

 「こんなにも凄い賞を受賞できて本当にうれしい。凄い人たちが受賞してきた、雲の上にあるような賞ですかね」

 阪神では3度受賞の村山実、小山正明、バッキー、江夏豊、小林繁、そして03年の井川慶に続いて23年ぶり、7人目の快挙となった。今季は最多勝利と勝率第1位の投手2冠に加え、月間MVPもセ・リーグでは史上初となる年間4度受賞。「沢村賞」も最有力とされていたが、受賞の喜びはひとしおだった。

 「全く想像していませんでした。今年は想像していなかったことがたくさんあった。これまでも、もうダメなのかなって思う時は何度もあったから」

 9年目で初めて開幕からフルシーズンを完走し、最高の栄誉を手にした。忘れられない投球に挙げたのは今季初先発となった3月28日の巨人戦だった。圧巻の3安打完封勝利。「9回投げられたことが本当にうれしかった。監督が最後までいかせてくださったおかげ」。ここから5戦4完封。まさに無双の投球内容だった。

 22年の左肘内側側副じん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を含めて肩、肘、手首と通算5度の手術を受けた。患部にボルトやプレートを埋め、そして外すことを繰り返した。長かったリハビリ生活。「この先どうなるんだ」と放心状態で河川敷を一人で歩き続けた日もあった。

 それでも野球に向き合った。投げられない時間も2軍戦のスコア係を務め、変化球の使い方、勝負球の選択、打者との駆け引きをチェックした。目の前の試合から吸収できるものは何でも吸収した。いつか投げられる日のために――。継続した努力が一つ報われた。

 「本当に頑張ってきて良かった。みんなに助けられて賞を獲れた。でも、今年だけで終わりたくない。本当にチームに欠かせないのは何年も戦力になり続ける人だと思う」と高橋の目は、もう来季に向けられていた。(鈴木 光)

 ▽沢村賞 プロ野球史上初の無安打無得点試合を達成した伝説の大投手、沢村栄治(巨人)を記念して1リーグ時代の1947年に制定。シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる。2リーグ分立の50年からはセ・リーグの投手だけが選考対象となり、89年から両リーグに拡大。選考基準は<1>15勝以上<2>150奪三振以上<3>8以上の完投試合数(昨年まで10以上)<4>防御率2.50以下<5>180投球回以上(昨年まで200以上)<6>登板25試合以上<7>6割以上の勝率、の7項目。日本版クオリティースタート(7回以上、自責点3以下)の回数なども考慮される。

≪4項目をクリアした阪神・村上、ヤクルト・山野を含む3人に絞って討議≫
 【選考過程】選考委員会では高橋のほかに同じ阪神の村上と才木、ヤクルトの山野らも最終的な候補として議論された。選考基準のうち4項目をクリアしたのは高橋と村上、山野の3投手。堀内委員長は「パ・リーグの投手はクリアした項目が少なく、4項目をクリアした3投手に絞って討議した。勝ち星、防御率、勝率が大きなウエートを占めてるということで、4人全員で高橋君に決めました」と説明した。

 高橋は勝率.842が両リーグトップで、堀内委員長は「13個の貯金ができる投手はなかなかいない。5完投のうち4完封も群を抜いてる」とし、山田委員も「前半戦の快投は沢村賞にふさわしい」と話した。

 選考会は、工藤公康氏が中日監督に就任したことで規定により委員から外れ、4委員で選考。来季からセ・リーグにDH制が導入されることには「必ず投球回数が増え、完投も増えるのでは」(堀内委員長)と期待した。

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