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【実録 竜戦士たちの10・8】(145)完璧に封じていたのに…今中慎二が浴びた先制弾 落合博満に勝負手読まれていた?

2025年10月8日 23時07分

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2回表、巨人・落合㊧に先制ソロを浴びた今中=ナゴヤ球場で


◇長期連載【最終章「歴史的敗戦が遺したもの」】
【2回 中2―2巨】94年10月8日(ナゴヤ)
 試合はいきなり2回表に動く。初球はスライダーが外角低めに外れボール。2球目はストレートを外角に決め1―1。ピクリとも動かなかった落合博満のバットが今中慎二の3球目、ひざ元に構えた中村武志のミットより、やや真ん中に入ったストレートを待っていたかのように一閃(いっせん)した。
 打球は、先制アーチとなってそのまま右中間スタンドに飛び込んだ。今中と落合の対戦は、この試合前まで29打数6安打の2割7厘。許した打点はわずかに2。もちろん本塁打はない。今中が完璧に落合を封じていた。それが、よりによってこの大一番で…。
 「待っていたかのように」と書いたのには理由がある。「お前と対戦するとしたら、オレはカーブを狙う」。1年前、中日の選手会納会に出席した落合がポツリと漏らした一言が頭から離れない今中は、自身の代名詞でもあるカーブを、この年ほとんど落合に使ってはいない。そんな過去の配球から、今中のこの日の“勝負手”が読まれていたということはないだろうか。
 ただ、この1点に関しては「あまりショックはなかった」と今中は言う。「打たれたのは甘い球。次は厳しく攻めればいいぐらいに思っていた」。それでも多少の動揺はあっただろう。1死から連打と四球で満塁とすると、投手・槙原寛己の二ゴロの間に1点を追加された。「あまり良くないな」と遊撃のポジションから今中を見ていたのは立浪和義だった。「真っすぐの走りですね。いつもなら槙原さんあたり、バットに当てさせずに三振が取れるはずですから」と後に語っている。
 その裏の中日はパウエルの詰まった打球が一塁の頭上を越える内野安打となると、仁村徹は止めたバットに当たる右前打。さらに彦野利勝もバットを折りながら中前に落ちるラッキーな3連打で無死満塁とした。ここで中村がフルカウントからの6球目を左前打。これを左翼のグラッデンがファンブルし、二走の仁村もかえり、たちまち同点とした。
 なお無死一、二塁。ところが再び、中日にミスが出る。今中のバントは代わった斎藤雅樹が素早く処理し、二走の彦野が三塁封殺。さらに続く清水雅治の三振で、二走の中村がチェンジと勘違いしベースを離れ、捕手からの送球でタッチアウトとなったのだ。
 「あり得ない話ですが、最初からアウトカウントを1つ間違えていたんです」と中村。まさに考えられないようなボーンヘッド。これも大一番の緊張からくるものだったのか…。=敬称略

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