中井亜美の躍進にも一役 4選手が7つのメダルを獲得した注目の所属先「TOKIOインカラミ」とは

[ 2026年2月22日 06:00 ]

個人スポンサーを経て23年4月から所属選手となった高木(右)と冬廣社長(同社提供)
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 22日(日本時間23日)に閉幕するミラノ・コルティナ五輪で、「TOKIOインカラミ」という所属先が話題を呼んだ。前回22年北京大会時の所属選手はスノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢ただ一人だったが、今大会は8人もの選手が出場。うち4人がメダリストとなり、21日時点で日本勢が獲得している24個のメダルのうち1/4以上となる7個が同社の選手からもたらされた。

 日本人選手の躍進が続いたスノーボード競技には同社から6人が出場。女子では村瀬心椛がビッグエアで金メダル、スロープスタイルで銅メダルを獲得し、男子では長谷川帝勝がスロープスタイルで銀メダルを手にした。フィギュアスケート女子では17歳の中井亜美がSP首位から銅メダルを獲得し、フィギュアの国内史上最年少メダリストとなった。

 イフイング株式会社が展開する美容室向けのヘアケアブランドを冠す所属先。同社のアスリート支援開始はわずか5年前だった。看板を出していたパルクールの大会映像を視聴するため夜のテレビニュースをつけていた冬廣應尚社長(51)が偶然、平野歩の特集を目にしたことから始まった。「これだ、彼だ、とピンときた」。その日のうちに関係者を通じて個人スポンサー契約を打診。2週間後に「所属でどうですか?」と逆打診を受け、21年7月に所属第1号となった。

 「平野歩夢パワーはすごい。男性女性ともにみんな“歩夢くんがいるから”って言いますから」と人が人を呼び、所属選手が急増した。平野歩との契約以前から話があったというスピードスケート女子の高木美帆とも個人スポンサー契約を結び、23年4月からは所属契約。高木は今大会で本命の1500メートルでは6位に終わりながらも、1000メートル、500メートル、団体パシュートで3個の銅メダルを手にした。

 同社の特徴は特異とも言えるマネジメントにある。「うちが結構選手に選ばれている理由は、選手の邪魔をしないこと。(他社では)お得意様が集まるパーティーに選手を呼ぶこともあると聞く。うちは一切ない」と冬廣社長は言う。活動報告さえ「どっちでもいい」。五輪前の重要な時期に同社を訪れた選手には「こんなところに来ていていいの?」と声をかけたこともあったという。雑音を封じて競技に集中したい選手にとっては最適な環境がある。

 実は、フィギュアで注目の的となった中井亜美の躍進にも同社が一役買っていた。中井はシニア1年目の今季、昨年10月のGPシリーズ第1戦フランス大会でいきなり優勝を飾った。同社はフランススケート連盟の公式スポンサー。毎年律義に大会を訪れていた冬廣社長に連盟が用意したのは、異例となる表彰式でのプレゼンテーターの役割だった。

 大会前、シニアデビューに向けて期待と不安が入り交じっていた中井に、冬廣社長はハッパをかけた。「あなたは(同年代の有望選手の中で)一人だけ(五輪出場資格を有す)6月30日より前に生まれている、“持っている子”だから。自分の運と実力を信じて、誇りを持って臨んで。表彰式で待っているね」。小声で「はい」と返ってきた。

 大会では同社の広告がホームのような空間を演出。中井は見事に優勝し、表彰台の頂点でメダルプレゼンターの冬廣社長と再会した。「僕が歩いて真ん中に立った時に“あー!”って言って笑っていて。“ほらね、行けるって言ったじゃん”って言ったら、“はい、本当に勝ちました!”ってめっちゃ喜んでいた。ああ、もうこれでオリンピックに行くんだろうなとその時に思った」と明かす。かくして勢いを得た17歳は、銅メダリストまで駆け上がった。(波多野 詩菜)

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