張本さん 心通じ合った安打製造機 イチロー氏をリスペクト「同じバットマンとして認めざるを得ない」

[ 2026年9月11日 05:15 ]

張本勲さん死去

09年、練習前に話す張本氏とイチロー
Photo By スポニチ

 プロ野球史上最多の3085安打を放った張本勲さんを「ハリー」と呼ぶのは、日米通算4367安打を記録したイチロー氏(52=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)だけだろう。昭和の大打者と平成の天才打者。一定の距離感を保ちながらもお互いを認め合ってきた2人にとって、忘れられない一日がある。

 2人の距離が縮まったのは、09年4月15日だ。張本さんはWBCを前にした同年2月の侍合宿での「3085本の時はアメリカに行くから」との約束を守り、シアトルまで駆けつけた。イチロー氏はその目の前で偉大な記録に並んだ。そして翌日には3086安打目を放って塗り替えた。試合後は「おめでとうございますって、えらい控えめに言われたので、びっくりしました。(見た目は)上品なタイプじゃないじゃないですか」と笑った。

 日本野球を愛するゆえ、トップ選手がメジャーに挑戦することには一貫して否定的だった張本さん。それはイチロー氏に対しても例外ではなく、その言葉は耳に届いていた。「日米通算」というくくりでの記録を張本さんは本当に喜んでくれるのか。しかし、わざわざ米国まで足を運んでくれたことで胸の中につっかえていたものが取れたのだろう。

 張本さんも「本心を言えば悔しい」と言いながらも「彼なら仕方ない。同じバットマンとして認めざるを得ない」と心の底から祝福。新記録の瞬間は大型ビジョンで紹介され「野球の本場で紹介されて一生の思い出。イチローのおかげ」と感謝の言葉を述べた。

 どっしりした構えから体がブレずに最短距離でバットを振り抜く張本さんに対し、イチロー氏はかつて「振り子打法」と呼ばれたように軸足と上体も前に突っ込んでいく。打撃理論は全く異なるが、張本さんは「打者にとって不利なことばかりやっている。体が硬い私にはできない打ち方」と当初からその技術には一目置いていた。

 シアトルでの交流から7年後の16年6月15日。大リーグ最多のピート・ローズを超える日米通算4257安打を記録した際、イチロー氏は「ピート・ローズが喜んでくれれば全然違うんですよ。ハリーは来てくれたじゃないですか。可愛げがありますよね」と言った。親しみを込めて初めて公の場で張本さんを「ハリー」と呼んだ。21年12月のサンデーモーニング卒業の際もコメントを出した。「ハリー、お疲れさまでした」。心が通じ合っているからこそ言える最大の敬意なのだろう。(編集局長・甘利 陽一)

続きを表示

「張本勲」特集記事

「大谷翔平」特集記事

野球の2026年9月11日のニュース

タグ内の最下位に記述をオススメします ここから-->