坂東彌十郎 歌舞伎界にもVIVANT旋風!70歳にして憧れだった歌舞伎座での“吉良”役の任務

[ 2026年10月29日 05:30 ]

徳川家の家紋が入った切り株を背にポーズを決める坂東彌十郎 (撮影・田中 和也)
Photo By スポニチ

 TBS日曜劇場「VIVANT」で活躍中の歌舞伎俳優・坂東彌十郎(70)が勢いそのまま古典の大役に挑む。11月1~25日に上演の「吉例顔見世大歌舞伎」(東京・歌舞伎座)で通し上演される「仮名手本忠臣蔵」で高師直(こうの・もろのう)を演じる。赤穂浪士の討ち入りを南北朝時代に置き換えた演目で、師直は吉良上野介にあたる最大の敵役だ。

 師直役は2008年の平成中村座以来18年ぶり。恨みを一手に引き受ける敵役ながら、器の小ささも見え隠れする難役。「人間が小さすぎると作品が成り立たない。どれだけ存在感を大きく見せられるか」。古希での大役に気合十分だ。

 「一つの目標」と憧れてきた大役。仮名手本忠臣蔵に初出演したのは1976年10月の名古屋・御園座で、当時の役は太鼓持。そこからちょうど半世紀。古希にして、十七代目中村勘三郎ら伝説の名優が演じた歌舞伎座の師直を射止めた。

 60代後半でのブレークを演出したのは三谷幸喜氏(65)。三谷氏が演出、脚本を務めた新作歌舞伎に出演する中で、映像作品への出演を勧められた。三谷氏脚本で22年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では主人公の父、北条時政役に抜てき。「三谷さんとの出会いがターニングポイント。1年間舞台を休むかは非常に悩んだ」というが、世間にその顔を知らしめた。

 その勢いは放送中の「VIVANT」でも。第1シリーズから阿部寛(62)演じる野崎守の上司で、警視庁公安部長の佐野雄太郎を熱演。尋問シーンの堂々とした姿が話題になった。「若い男性が“佐野さんですか?”と駆け寄ってくれるようになった」と、先月出演の京都南座公演から作品の注目度を肌で感じている。「VIVANTから忠臣蔵はハードかもしれない。でも忠臣蔵から入ってしまえば天下無敵」とVIVANTの熱気を歌舞伎の人気にも持ち込む意気込みだ。

 「私は欲張りですから、役は大きい役ならなんでもやりたい」。古典歌舞伎も映像作品も、彌十郎は貪欲に演じていく。 (前田 拓磨)

 《夢は「劇場を海外に」》彌十郎の野望は国内にとどまらない。70代の目標を問われると「歌舞伎の形の劇場を海外に一つ造りたい」と明かした。海外旅行を趣味とし、欧州各地の劇場を訪問。自身の経験から「花道やすっぽん、盆といった舞台装置がある劇場が一つあれば西洋の演劇も変わると思うんです」と日本ならではの舞台装置の必要性を熱弁。「海外のお客さまは歌舞伎を喜んで見てくださるが、オペラなどの舞台で“歌舞伎を見た”と言われるのは悔しい。歌舞伎本来の見せ方をしたい」と持論を語った。

 《父への思い「師直を演じる姿を見て欲しかった」》演じる上でいつも意識するのが、父の坂東好太郎さん(81年死去)の存在だ。今年は好太郎さんが亡くなった年齢である70歳を迎えた。役で悩んでいる時は父に相談しに行く夢を見るという。「やはり父には師直を演じる姿を見て欲しかったです。やはり父がいたから自分は俳優になりたいと思ったし、大好きだった。まさか父は僕が師直をやらせてもらえる役者になるとは想像もしていなかったと思います。褒めてはくれないでしょうね」と今でも思いをはせる。

 「自分の体力と今やらせてもらっていることを考えると、10年では足りない。やりたいことを全部やるとしたら欲張りに生きるしかないですよね。映像も舞台のことも、まだまだです」。70歳になっても、彌十郎の好奇心は尽きない。

 ◇坂東 彌十郎(ばんどう・やじゅうろう)1956年(昭31)5月10日生まれ、東京都出身の70歳。73年、坂東彌十郎を名乗り初舞台。78年に名題昇進。父は「浪花女」などの映画でも活躍した坂東好太郎さん。長男は歌舞伎俳優の坂東新悟。映像の主な出演作に「キングダム 魂の決戦」「風、薫る」など。

続きを表示

この記事のフォト

「美脚」特集記事

「【VIVANT考察】最新ニュースを随時更新」特集記事

芸能の2026年10月29日のニュース

タグ内の最下位に記述をオススメします ここから-->