【陸上】消えた高校生日本王者の復活劇「ここで諦めたら…」800Mクレイ・アーロン竜波がJAL入社

[ 2026年10月2日 05:30 ]

JALに入社したクレイ・アーロン竜波(撮影・坂本 寛人)
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 陸上男子中距離のクレイ・アーロン竜波(たつなみ、24)が1日、JALに入社した。800メートルで日本歴代2位の1分44秒32を持ち、今秋に米国・ペンシルベニア州立大大学院を卒業。今後も米国に拠点を置く予定で「世界の舞台で通用する走りをしたい」と抱負を語った。

 神奈川・相洋高3年だった2019年に日本選手権を制覇した。将来を期待される中、渡米して進学したテキサスA&M大学で不振に陥った。「練習環境が合わずに苦労した。大2から大4まで、気持ち的に自信がなかった。陸上に対しても、ちょっと走るのが怖いぐらいになっていて」。自身は長い距離を踏むことに重きを置いていたが、練習方針の違いから「有酸素の土台がなかった」と本来の走りを見失った。

 転機は24年夏の大学院進学だった。「ここで諦めたら、日本から応援してくださっている方々への恩返しもできないと。最後の最後までやり切って恩返しをしたいと思って、大学院に進むことにした」。そこで出会ったオーストラリア人のコーチは、個々に合わせて練習メニューをアレンジする指導者だった。新たな環境でスピード系と有酸素系の練習をバランス良く積んだ。少しずつ自信を取り戻し、25年に高校3年時に出した自己ベストを6年ぶりに更新する。今年は1分44秒台を立て続けにマークし、3月の世界室内選手権で6位入賞を果たした。「無事に戻って来られて、諦めずにここまで来られて良かった」。どん底からはい上がってきたからこそ、その言葉には実感がこもった。

 クレイが米国でもがいている間に、日本男子800メートル界には変化が起きていた。24年、クレイが持っていた1分46秒59の日本高校記録を落合晃(現駒大)が破った。その落合は日本記録も塗り替え、今年5月に1分43秒45まで伸ばした。落合以外にも1分45秒台を出す選手が続出。クレイが高校生王者となった19年から、著しい進化を見せている。「刺激しかない。自分もついていきたい、負けたくないという気持ちが強くなった。日本の800メートル界がそうやって盛り上がっていることは凄くうれしい」。落合との直接対決も心待ち。「2人で日本の800メートルを引っ張っていきたい」と言う。

 JALには女子やり投げで24年パリ五輪金メダルの北口榛花、男子110メートル障害の日本記録保持者・村竹ラシッドら日本トップの選手が所属している。「素晴らしいアスリートが周りにいる。刺激を受けながら頑張りたい」。来年の世界選手権北京大会、その先の28年ロサンゼルス五輪へ。復活した元高校生日本王者が、JALから世界へ羽ばたく。

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