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「人生の目標」のはざまに

2026年6月20日 05時05分 (7月2日 17時06分更新)
富山の友達がお土産にくれた花束。なにかの日じゃない時にもらえる花束ってうれしい=珠洲市で

富山の友達がお土産にくれた花束。なにかの日じゃない時にもらえる花束ってうれしい=珠洲市で

 先々週から上下にわたって「人生の目標」をテーマに思いをつづりましたが、書き忘れたことがあるのに気づきました。
 高校卒業後しばらくして、「しんどくなった時に頼れる場所をつくりたい」という夢ができたと思ったら、まもなくして自分が生きることに疲れてしまった。そんな時にどういう場所に行きたくなるか考えれば良い、と父に言われたというのが前編。後編は時間がぐっと現在に引き戻って、最近よくうちに手伝いに来てくれている友達が、だんだんと元気になってきたという話をしました。前編の最後の父の問いにかかわってきますが、なぜこの話を書こうと思ったのか、ということを今回は書こうと思います。
 最近知り合った友達とまめにメッセージでやりとりしていた時に、気持ちが沈んでいることを打ち明けられました。すぐにでも会いに行って、なにができるわけでもないけど、隣に座っていたかった。でも、仕事もあるし、友達の都合もあるし、それはできない。だけどそれでも、なにかできることはないのか、と考え続けていたけど、やっぱりなんにもできないと思って、思う度に涙が出るほどしんどかった。友達の方がどれだけしんどいかも分からないけど、できれば心の中に手を突っ込んで、しんどさの膿(うみ)をぜんぶぜんぶかき出したいけれど、たとえ隣にいる人であってもそれはできない。そんな時に、高校の時からの親友と電話することがあって、その悩みを相談すると「まずは菜の花がげんきになることや」と電話の後にメッセージを送ってくれました。
 そうなのです。私も、自分が元気じゃない時、どんな人に会いに行きたいかと言ったら、淡々としている人。私の話に耳を傾けつつも、一緒に落ち込んだり、私より不安になったりせずに、どーんと構えていてくれる人。行きたい場所は、誰かの日常の中。毎日同じような繰り返しを丁寧に送っている人の生活の中。そういうところで1週間くらい居させてもらったら、ちょっとずつだけど、深呼吸を思い出したり、大丈夫だと自分に言えるようになる気がします。少ないながらも、勉強のためにいろいろなホテルや旅館に泊まりに行ったけれど、いちばん好きなのは友達の家でした。
 だから私も、友達の家、のような宿にしていきたい。今はそう思っています。
 ちなみに元気がなかった友達と、この間ばったりスーパーで会って、ちょっと明るくなったかな、と思う顔を見てほっとしたのでした。(湯宿経営)
なのはな日和

 石川県珠洲市で湯宿を営む坂本菜の花さんの連載コラム。北陸の天気のようにままならない日々を、自分らしく暮らしていく記録です。

なのはな日和

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